2012 Fiscal Year Research-status Report
リサイクリングエンドソームからリソソームへの新規分解経路の同定とその機能解明
Project/Area Number |
24657125
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福田 光則 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (50311361)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リサイクリングエンドソーム / リソソーム / 蛋白質分解 / トランスフェリン受容体 / アミノ酸トランスポーター / Rab / 低分子量G蛋白質 / 膜輸送 |
Research Abstract |
細胞膜上の受容体は、リガンドを結合すると細胞内に取り込まれ、やがてリソソームで分解されるが、トランスフェリン受容体や一部のアミノ酸トランスポーターなどはリサイクリングエンドソームを経由して細胞膜へとリサイクルされる。しかし、同じ蛋白質分子が永遠に使用されるとは考え難く、何らかの品質管理機構が存在すると想定されるが、これまでリサイクルされる蛋白質分子の分解に関する知見はほとんどなかった。当研究室では最近、トランスフェリン受容体の恒常的分解過程に低分子量G蛋白質Rab12が関与すること、Rab12により制御されるリサイクリングエンドソームからリソソームへの新規輸送経路が存在する可能性を示唆した。本研究課題では、これまで教科書的にも全く記載の無いリサイクリングエンドソームからリソソームへの輸送経路を確立すると共に、リサイクルされる蛋白質の分解の生理学的意義の解明を目指している。本年度は、細胞膜とリサイクリングエンドソームをリサイクルされる蛋白質として、新たにアミノ酸トランスポーター(PAT4)を同定し、この分子がRab12依存的にリソソームで恒常的に分解を受けることを見出した。Rab12を欠損するマウスの胚性線維芽細胞では、PAT4の分解が抑制されるため、細胞膜上のアミノ酸トランスポーター量が増加すると共に、細胞内アミノ酸量が増大することが明らかとなった。その結果、細胞増殖において中心的な役割を果たすmTORC1の過剰な活性化とオートファジー(自食)の抑制が引き起こされることを突き止めた(EMBO Rep., 2013)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで謎に包まれていたリサイクリングエンドソームからリソソームへの輸送経路を確立すると共に、その生物学的意義の一端を解明することに成功した。これらの研究成果を当該研究分野で評価の高い学術雑誌に発表すると共に、各種メディアにてプレスリリースを行い多くの社会的反響を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きリサイクリングエンドソームからリソソームへの輸送経路に関与する分子の同定とその機能解析を行うと共に、この経路によるタンパク質分解の生物学的意義の解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は当初予定していたよりも円滑に研究が進行したため、少ない消耗品代で十分な研究成果を挙げることができた。次年度は、同定したRab12の制御因子の探索を大規模に行うため、通常より多くの消耗品が必要であり、スクリーニングを円滑に行うための研究支援者を雇用する予定である。
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Research Products
(4 results)