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2013 Fiscal Year Research-status Report

力によるアクチン線維のゆらぎとアクチン-コフィリン相互作用の制御

Research Project

Project/Area Number 24657130
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

早川 公英  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60467280)

Keywordsアクチン / コフィリン / 力覚受容 / 一分子イメージング
Research Abstract

張力が存在しない条件下でのアクチン-コフィリン相互作用について平成24年度の内容に加えてさらに詳細な解析を行い、学術論文としてまとめPNASに投稿した(現在リバイス中)。また、全反射照明を用いた一分子観察から、アクチンフィラメントにコフィリンが結合するとアクチンフィラメントの輝度が変化すること、すなわち、アクチンフィラメントとガラスとの距離が変化することを見出した。この結果は、コフィリンの結合によってアクチンフィラメントに巨視的な構造変化が起こったことを示唆している。さらに、一分子観察を行いながらアクチンフィラメントを牽引する手法について検討を進めた。光ピンセット法は全反射照明が観察可能な領域でアクチンフィラメントを捕捉し牽引するのは非常に困難であったため、磁気ビーズを用いてアクチンフィラメントを牽引する方法を検討した。シアノ-シランでガラス表面をシラン化してサイトカラシンをシアノ基に介して共有結合させ、サイトカラシンを介してアクチンフィラメントのb端を特異的にガラス表面に固定した。ビオチン標識アクチンを共重合したアクチンフィラメントにアビジン標識磁気ビーズを結合させ、電磁石を観察対象フィラメントの数百μm以内に接近させてアクチン繊維が牽引されるのを確認した。また、コフィリンによるアクチン切断過程の解析を試みた。コフィリンによるアクチン切断は極めて頻度の低い現象であるため一分子観察には不適であるが、コフィリンのアクチン切断活性を上昇させるAIP-1の共存下ではアクチン切断が観察された。AIP-1を蛍光標識してコフィリンによるアクチンフィラメント切断の一分子観察を行った所、AIP-1が結合したごく近傍でフィラメントの切断が起こることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

アクチン-コフィリン相互作用の一分子観察結果から計画時に予想した以上に興味深い結果が得られたため、計画よりも詳細に「張力不在下でのアクチン-コフィリン相互作用」を解析した(結果は学術論文としてPNASに投稿中で、現在リバイス中)。そのため、当初予定していたアクチンフィラメントの回転ゆらぎの計測は、複数の技術的問題(高輝度かつ偏光性のある蛍光粒子を回転ゆらぎが出ないようにアクチンに標識する事が困難)が明らかになったこともあり進捗が遅れている。一方で、計画時には大きな技術的困難を予想していた一分子観察下でのアクチンフィラメント操作は、高効率でアクチンフィラメントのb端をガラス表面に固定する手法を開発した結果、計画時よりも早い段階で解析可能な状態に到達することが予想される。アクチンフィラメントの折れ曲がり方向のゆらぎに関しては観察可能であり、コフィリン結合よりアクチンフィラメントの構造変化が誘導されることを明らかに出来た。アクチンフィラメント側の構造変化の検出に関して進捗が遅れているのに対して、一分子観察下でアクチンフィラメントを操作する手法に関しては予定よりも進捗していることから、本研究の主眼である張力存在下でのアクチン-コフィリン相互作用の一分子観察に関しては計画とは異なる状況ではあるが概ね順調に進捗していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

現時点までに張力非存在下でのアクチン-コフィリン相互作用を一分子イメージングにより解析した結果を元に、張力存在下のアクチンコフィリン相互作用を詳細に解析する。アクチンフィラメント内の張力によってコフィリンのアクチンへの結合が抑制されることを定量的に解析し、さらにコフィリンの協同的結合が張力負荷によって抑制されるかどうかに着目して解析を行う。アクチンフィラメントの回転ゆらぎの計測には大きな技術的問題点が複数残されており、26年度中には1:張力存在下で2:アクチン-コフィリン相互作用を一分子レベルで観察しながら3:十分な時間的/空間的分解能で観察可能な状態には到達しない恐れもある。そこで、3つの条件を同時に成立させられない場合には、条件1と2を同時に成立させずに解析を行うものとする。また、AIP-1の共存下でコフィリンによるアクチンフィラメント切断過程を観察し、アクチンフィラメントの折れ曲がり方向の巨視的ゆらぎと切断との関連を解析する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

イメージングの条件が劇的に最適化されたために、必要な精製タンパク質の量が極めて微量で済んだために当初予想したほど、試薬や高価な精製タンパク質標品を購入する必要がなくなったため、消耗品費が大きく減った。しかし、興味深い成果が出たために海外学会発表を行ったために旅費が当初計画よりも増加した結果、若干の次年度使用額が出たものである。
主に光学部品、生化学的試薬、タンパク質標品を購入する費用を消耗品費として計上する。学会発表のための旅費と論文投稿に関わる費用を計上する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 2013

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] Direct measurement of thermodynamic parameters of cofilin-actin filament interactions at the single molecule level.2014

    • Author(s)
      早川公英、榊原正太郎、曽我部正博、辰巳仁志
    • Organizer
      Biophysical Society
    • Place of Presentation
      San Francisco, USA
    • Year and Date
      20140215-20140219
  • [Presentation] Analysis of Cooperative Cofilin-Actin Filament Interactions examined at the single molecule level.2013

    • Author(s)
      早川公英、榊原正太郎、曽我部正博、辰巳仁志
    • Organizer
      日本生物物理学会
    • Place of Presentation
      京都国際会議場、京都
    • Year and Date
      20131028-20131030

URL: 

Published: 2015-05-28  

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