2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24657131
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池ノ内 順一 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10500051)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞膜 / 脂質量 / FANTOM4 / THP-1細胞 / 生合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜は、細胞表面に存在する形質膜と細胞小器官を形成する細胞内膜から構成される。これら細胞膜を構成する主な脂質分子は、リン脂質である。リン脂質には極性基や脂肪酸鎖の多様な組み合わせから数千種類も多様性が存在することが知られている。このような多様なリン脂質であるが、それらの合成と分解は独立に行われるものではなく、極性基の置換、脂肪酸鎖の置換、リモデリングなどによってお互いの代謝は密接に連関している。我々のからだを構成する様々な細胞には、細胞内膜の発達したリン脂質量の多い細胞が存在する。このような細胞の種類の違いに応じてリン脂質の量が異なるメカニズムは全く明らかになっていない。本研究では、細胞のリン脂質の量がどのようなメカニズムで決められているかについて明らかにしようと考えた。実験ではTHP-1細胞を対象として研究を行った。THP-1細胞は、先行研究においてホルボールエステルの一種であるTPAで処理するとマクロファージに分化し、特に小胞体やゴルジ体などの細胞内膜が増加することが報告されている。2009年に理化学研究所が中心となりTHP-1細胞の分化過程において変動する遺伝子に関する詳細な解析がFANTOM4として報告された。研究代表者は、このデータベースの中の脂質代謝に関わる酵素群に着目することにより、細胞内膜の増加を可能にする遺伝子群の同定を試みた。また実際にTHP-1細胞の分化過程における脂質量の変化を生化学的に解析した。その結果、THP-1細胞の分化に伴いダイアシルグリセロール(DAG)の生合成量を増加させるように遺伝子発現が変化していることが明らかになった。今後はTPA処理によってDAGの生合成に関わる遺伝子発現が変化する仕組みについてプロモータ領域に着目して解析を行い、「脂質分子の需要と供給」を感知し、リン脂質合成量を調節する分子機構の解明に取り組みたい。
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