2012 Fiscal Year Research-status Report
動物細胞における温度センサーの探索と低温刺激応答シグナル伝達系の解明
Project/Area Number |
24657140
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
佐藤 孝哉 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20251655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 延之 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20610504)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 低温刺激 / チロシンキナーゼ / ACK1 |
Research Abstract |
哺乳動物は、体内の温度がほぼ一定に保たれ、細胞を取り囲む環境は極めて安定に維持されている。しかし、哺乳動物の場合でも、生理的環境下で細胞が体温より低い温度にさらされる機会が存在する。とくに直接外界に接する皮膚、気管、腸管などは体温より低い状態に存在することが多い。このような温度変化を感知し応答する細胞内シグナル伝達系は、ほとんど解析されていない。本年度は、細胞を25℃の低温刺激にさらすとリン酸化が強く誘導されることが知られているチロシンキナーゼACK1の機能解析を進めた。ACK1は多数のドメインからなる多機能性蛋白質である。現在、これらのドメインの変異体を複数作成し、培養細胞系に遺伝子導入した後、低温刺激に応答したチロシンリン酸化を検討している。それにより、このシグナル伝達に必要なドメインの同定を目指している。例えば、CRIBドメインには活性型Cdc42が結合するが、このドメインのCdc42結合能を喪失した変異体の解析から、低温刺激応答シグナル伝達へのCdc42の関与を検討している。さらに、ACK1に直接結合する分子として、Grb2、Nck、p130CASなどのアダプター、クラスリン、各種受容体型チロシンキナーゼ、E3ユビキチンリガーゼなどが知られている。現在、これらのシグナル伝達分子を個別にあるいは組み合わせてRNAi法により発現抑制し、ACK1の低温刺激応答性チロシンリン酸化への影響を検討している。また、ACK1の基質として、セリン・トレオニンキナーゼAkt、アンドロゲン受容体、グアニンヌクレオチド交換因子Dbl、癌抑制遺伝子産物Wwox、Wiskott- Aldrichi syndrome proteinなどが知られている。低温刺激に応答したこれらの基質蛋白質のチロシンリン酸化の有無を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新設の研究室であるため、研究設備の整備に時間を要した。また、研究に参加する大学院生の数が、当初の予想より少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って、チロシンキナーゼACK1の温度センサーとしての機能解析を進めるとともに、低温刺激でチロシンリン酸化される蛋白質の網羅的解析も開始する。また、ack1遺伝子ノックアウトマウスでの検証の準備も進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の当該研究の開始が遅れたため、当初計画に比べて研究の進捗がやや遅れているため、次年度に使用する予定の研究費が発生した。平成25年度研究費と合算して、物品費を中心に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Ras-related C3 botulinum toxin substrate 1 (RAC1) regulates glucose-stimulated insulin secretion via modulation of F-actin2013
Author(s)
S. Asahara, Y. Shibutani, K. Teruyama, H. Y. Inoue, Y. Kawada, H. Etoh, T. Matsuda, M. Kimura-Koyanagi, N. Hashimoto, M. Sakahara, W. Fujimoto, H. Takahashi, S. Ueda, T. Hosooka, T. Satoh, H. Inoue, M. Matsumoto, A. Aiba, M. Kasuga, and Y. Kido
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Journal Title
Diabetologia
Volume: 56 (05)
Pages: 1088-1097
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Astroglial IFITM3 mediates neuronal impairments following neonatal immune challenge in mice2013
Author(s)
Daisuke Ibi, Taku Nagai, Akira Nakajima, Hiroyuki Mizoguchi, Takahiro Kawase, Daisuke Tsuboi, Shin-ichi Kano, Yoshiaki Sato, Masahiro Hayakawa, Ulrike C. Lange, David J. Adams, M. Azim Surani, Takaya Satoh, Akira Sawa, Kozo Kaibuchi, Toshitaka Nabeshima, and Kiyofumi Yamada
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Journal Title
Glia
Volume: 61
Pages: 679-693
DOI
Peer Reviewed
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