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2012 Fiscal Year Research-status Report

脂質ラフトの裏側を見る

Research Project

Project/Area Number 24657143
Research InstitutionThe Institute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

小林 俊秀  独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 主任研究員 (60162004)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords脂質ドメイン / 脂質プローブ / 脂質ラフト / 脂質の非対称性 / スフィンゴ脂質 / コレステロール / 超高解像顕微鏡 / 電子顕微鏡
Research Abstract

平成24年度は新奇の脂質ラフト結合タンパク質、主としてスフィンゴ脂質・コレステロールの複合体を認識するタンパク質の発見と、得られたタンパク質の脂質プローブとしての開発に焦点を絞った。
これまで食用キノコ抽出液からスフィンゴ脂質結合タンパク質が報告されていることから、食用キノコとしてエリンギ、マイタケ、ブナシメジを選び、調製した抽出液から脂質結合タンパク質のスクリーニングを行った。スクリーニングは目的とする脂質を用いて人工膜を調製し、抽出液から膜に結合する水溶性のタンパク質を遠心分離によって沈降させ、質量分析によってアミノ酸の部分配列を決定した後、配列情報をもとに目的のタンパクをクローニングし、大腸菌に組み換えタンパクを発現させ、精製した組み換えタンパクの脂質結合活性を確認する、という方法によって行った。
その結果、糖脂質であるガングリオシドGM1およびGM1とコレステロールの複合体に結合するタンパク質が得られたが、これらのタンパク質に相当する組み換えタンパクには脂質結合の特異性を示さなかった。一方マイタケおよびエリンギからはスフィンゴミエリンとコレステロールの複合体に結合するタンパク質が得られた。マイタケ由来のタンパクは報告されているタンパクと一次構造の相同性のない新奇タンパク質で、組み換えタンパクを結晶解析した結果、このタンパク質の立体構造はスフィンゴミエリンと結合することが報告されているイソギンチャク毒素、スチコライシンに類似しているが、スチコライシンの毒性に関与するN末近傍の構造だけが大きく異なっていることが明らかになった。またエリンギ由来のタンパク質はスフィンゴミエリンとの結合が報告されているヒラタケ由来のプロロトリシンAと非常に類似していた。どちらのタンパク質にも細胞毒性はなく、GFPを結合したキメラタンパク質もキノコ由来タンパクと同様の脂質結合性を示した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度の最大の目的は新奇の脂質ラフト結合タンパクの取得にあった。この点で2つの新奇脂質ラフトプローブの開発に成功したことは初年度の研究目的を十分に達成できたと評価できる。一方でGM1結合タンパク質は同定にまでこぎつけながら組み換えタンパクに脂質結合活性の特異性は見られなかった。この点については次年度の検討事項である。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度は24年度に得られた知見をもとに、ラフトへの局在とタンパク質の機能との関係を探る。ラフトタンパク質としてrasを取り上げ、活性型と不活性型の変異株での脂質ラフトへの局在を測定するとともに生理的条件下でのrasの動態の変化を高解像度で追跡する。このためには共焦点顕微鏡での観察に加え、PALM (Photoactivation localization microscopy)等の超高解像光学顕微鏡や脂質二重層の内外層の脂質を解析できる電子顕微鏡手法であるSDS-FRLを導入する。またイノシトールリン酸に結合するPHドメインやホスファチジルエタノールアミンに結合するデュラマイシンを用い、PALMとSDS-FRLを併用して脂質ラフトの裏側の脂質の分布状態を明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度は主としてキノコ由来タンパク質のスクリーニングに集中したため比較的予算の消費を少なく抑えることができた。平成25度には得られたプローブを使用して本格的な解析を始めるため、細胞培養、さまざまな組み換えタンパク質の調製、生化学解析、顕微鏡サンプルの作成、抗体との二重標識等に多額の費用がかかり、これに平成24年度の残額と平成25年度の予算を充てる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 Other

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] Protein probes for studying lipid domains2013

    • Author(s)
      Toshihide Kobayashi
    • Organizer
      The Fourteenth International Membrane Research Forum
    • Place of Presentation
      京都
    • Year and Date
      20130315-20130317
    • Invited
  • [Remarks] 小林脂質生物学研究室

    • URL

      http://www.riken.jp/lbl/mainpagelbl.html

URL: 

Published: 2014-07-24  

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