2012 Fiscal Year Research-status Report
メダカ耳石形成変異体を用いたバイオミネラルの結晶核形成メカニズムの解明
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24657146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 洋幸 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80179647)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | バイオミネラル / 耳石 / メダカポリケタイド合成酵素 / 結晶核 |
Research Abstract |
本研究では硬骨魚類メダカの耳石(平衡石)を対象として、これまで不明であったバイオミネラリゼーションの核となる物質を同定することを目的としている。耳石が欠損するメダカ変異体haの原因遺伝子を同定した結果、それは脊椎動物では初めてとなるポリケタイド合成酵素の遺伝子(mPKS)であった。ポリケタイドは植物、糸状菌、昆虫など広範囲の生物種が合成する脂質様の低分子産物である。 mPKSが合成する産物を遺伝子工学、分析化学を用いて同定することを目的に、PKSの研究で種々の手法が確立している麹菌Aspergillus Oryzaeを用い、メダカ遺伝子mPKSを導入して培養し、その上清を出発点として、バイオアッセイで活性のある分画を同定することを試みた。 最初に培養上清から脂質様成分を抽出して、それをリンガーで希釈して、mPKSの機能が欠損したメダカha変異体の発生中の胚を含むリンガーに添加した。その結果、高効率で耳石形成がレスキューされた。これによりバイオアッセイ系が確立した。次にLC/MS分析等で活性のピークを探ったが、現在まで活性のあるピークを得ることができていない。引き続き種々の方法を試して、精製が可能な状態のピークを得る実験を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
mPKSが合成する産物のNMR分析のために、化合物の大量調製に適している微生物を宿主として選定を行った。平成24年度では、mPKSを導入し産物を合成させる発現系として麹菌を採用し実験を行った。クルードな培養上清の中にmPKSの合成産物が存在していることが確認できたことは大きな進展であった。しかしその後の精製段階で、SN比が改善されない状態が続いている。
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Strategy for Future Research Activity |
SN比が改善されないのは、麹菌を用いた系に問題がある可能性が高い。つまりメダカ遺伝子産物は、麹菌では十分な量が作られていないと思われた。そこで、mPKSの発現系を酵母およびメダカ培養細胞へ変更して高発現株の選別を行っていく。バイオアッセイを用いた実験で高発現系が確立できた後に、これらの系の分画実験と合成産物の精製、最適な分析条件の探索とNMR分析による化合物の構造決定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度研究費は、上記研究で使う試薬、器具等実験消耗品に充てる。
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