2013 Fiscal Year Annual Research Report
核局在性の分泌性ペプチドと分泌性の転写因子の生物学的・進化的意義の解析
Project/Area Number |
24657147
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平良 眞規 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60150083)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井 優輔 基礎生物学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (70634129)
|
Keywords | 転写因子 / 分泌性因子 |
Research Abstract |
今年度、緊急性の高いものを重点的に行ったため、当初の予定とは少し異なるが、転写因子Otx2の翻訳後修飾について解析した。Otx2は通常は転写因子として機能するが、網膜の視神経の視覚野への選択的軸策投射において分泌されて機能することが報告されている。最近我々が見出したOtx2の翻訳後修飾がもしリン酸化ならば、膜の透過性が下がり、分泌性に対して影響すること考えられた。そこでOtx2における翻訳後修飾の同定をまず行った。その結果、ホメオドメインのC末側領域の3箇所のセリンがリン酸化修飾を受けることを見出した。次に修飾の意義を検討するため、その上流のAktキナーゼ部位のスレオニンも含め、これら4箇所の修飾部位に変異を入れ、アラニン置換の非リン酸化コンストラクト4Aと、グルタミン酸置換の擬似リン酸化コンストラクト4Eを作成した。それらをアフリカツメガエル胚に発現させたところ、4Eは野生型の表現型である眼の縮小の活性が増強されたのに対し、4Aでは逆に網膜領域の拡大が認められた。細胞増殖に対する影響では、4Eは増殖を促進する一方、4Aは増殖を抑制した。このことは、Otx2はC末領域のリン酸化修飾により活性を変化させることが示唆された。 Otx2のリン酸化酵素を探索した結果、cyclin A/Cdk1とcyclin B/Cdk1を同定した。従ってOtx2は細胞分裂期のS期からM期にリン酸化を受け、それが細胞記憶として次の細胞周期に対して正に働くことを予想させる。事実、Otx2はCdk阻害因子の発現を抑制することが知られており、Otx2の転写抑制にはリン酸化が関わることを我々は見出している。つまり、「リン酸化Otx2 --| Cdk阻害因子 --| Cdk1 --> Otx2のリン酸化」という正のフィードバック機構が示唆された。一般にリン酸化修飾はイオン化により膜の透過性を下げることが予想されるので、分泌型Otx2は非リン酸化型と予想される。今後、4Aが分泌するか否かを検討することが重要である。
|
Research Products
(2 results)