2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24657158
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
野村 真 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10323007)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 中間増殖細胞 / 進化 |
Research Abstract |
本研究では、多様な脊椎動物種におけるTbr2のタンパク質ドメイン機能解析から、大脳皮質中間増殖細胞の産生と維持を制御する分子機構を解明する。Tbr2のタンパク質構造は種間によって大きく異なっているため、タンパク質の機能ドメインの多様性と中間増殖細胞の進化との関連を探る。平成24年度は、Tbr2タンパク質の各ドメインを欠損、あるいはアミノ酸置換を導入した変異タンパク質の作製準備を行った。当初予定していた発現ベクター(pCMV-Tbr2)では、HEK293細胞での発現が確認されたが、電気穿孔法による神経上皮細胞への導入効率が著しく低いことが判明したため、Tbr2 cDNA 全長を pCAGGSベクターにサブクローニングする作業を行った。現在、このベクターによる発現効率の確認と、変異タンパク質をコードするベクターの作製を行っている。 また、マウス、ヤモリ、カメ、ニワトリのそれぞれの大脳皮質相同領域における中間増殖細胞の有無を再検討した。分裂細胞を標識するリン酸化ヒストン抗体と、神経幹細胞マーカーであるSox2抗体による解析を行った結果、ヤモリ、カメには脳室下帯で分裂する細胞はほとんど認められないが、ニワトリ脳室下帯では多くの分裂細胞が観察され、その中にはSox2を発現する細胞も含まれていた。これは、近年霊長類大脳皮質の発生過程において注目されている外側脳室下帯における放射状グリア細胞 (oRG細胞)との類似性を示唆するものであり、この細胞が並行進化したことを伺わせる興味深い結果である。現在、この細胞と特性と、ニワトリに存在するTbr2陽性細胞との相違点、さらにTbr2のドメイン構造の違いと細胞増殖活性との関連を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初使用を予定していた発現ベクターの発現効率が低かったため、変異タンパク質発現用のベクター作製が当初の予定より遅れている。この問題はより強力に発現を誘導するプロモーターを持つベクターへの載せ変えにより解決済みである。一方、中間増殖細胞と脳室下帯神経幹細胞の発生と進化に関する新たな知見を得たため、このデータを当初の計画に組み入れた実験計画を立案している。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスTbr2遺伝子を爬虫類、鳥類の大脳皮質相同領域に導入し、強制発現された細胞の運命にどのような変化がおきるのかを検討する。その後、その変化がTbr2タンパク質のどのドメインの機能に依存するのかを検討するため、各ドメイン変異タンパク質および種間ドメインスワッピングタンパク質の発現ベクターを作製し、非哺乳類胚の皮質相同領域に強制発現する。並行して、yeast two hybridシステムを用いて、各ドメインに特異的に結合するタンパク質を単離する。また、平成24年度の解析で明らかになったニワトリ脳室下帯の増殖細胞の特性(形態、遺伝子発現、分化運命など)を、GFPベクターによる細胞標識実験により検討し、Tbr2陽性の非増殖細胞の特性との比較を行う。こうした解析により、Tbr2と中間増殖細胞、さらに脳室下帯神経幹細胞の並行進化に関する新たな知見がもたらされることが期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)