2013 Fiscal Year Annual Research Report
真胎生魚をモデルとして一次造血機構の意義と進化を探る
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24657161
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯田 敦夫 京都大学, 再生医科学研究所, 助教 (90437278)
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Keywords | 初期発生 / 魚類 / 胎生 / アポトーシス |
Research Abstract |
2013年度は昨年度の発展として、胎生魚ハイランドカープの胎仔が母体から栄養供給を受けるための器官「栄養リボン」に関する解析を行った。昨年度までに出産直前の胎仔において、栄養リボンがアポトーシスで退縮することを明らかにしていた。今年度は退縮過程にある栄養リボンを組織染色により詳細に観察し、上皮および間充織構造は盛んに細胞死を起こし崩壊しているものの、血管は接着構造を維持してアポトーシスが殆ど起こっていないことを見いだした。また約4週齢の胎仔を摘出し母体外ですると、伸長していた栄養リボンが48時間以内にアポトーシスが起こし、速やかに退縮する。このことから、母体内環境においてはアポトーシスの抑制が起こっており、これが妊娠を継続させるメカニズムのひとつであることが示唆された。 今年度の解析で胎仔の母体外培養が可能になったことで、胚操作や薬剤処理を駆使することでアポトーシスの制御機構に迫ることが可能となった。 栄養リボンは哺乳類における胎盤および臍帯と機能的に相似である。哺乳類の胎盤および臍帯は出産後に、環境変化や乾燥に曝されることで脱落を開始する、しかし、胎生魚類の栄養リボンは出産前にプログラムされた細胞死を開始する。これは哺乳類とは独立して胎生形質を獲得した魚類(ハイランドカープ)にユニークな形質であると考えられる。 2年間の解析により、胎生魚ハイランドカープを飼育下で維持・繁殖させ、非哺乳類の胎生動物モデルとして取り扱うことが可能となった。今後、形態や行動など様々な研究対象として発展させていくための基盤が構築できたと考えている。
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Research Products
(1 results)