2012 Fiscal Year Research-status Report
血液酸素動態分析を用いた霊長類の歩行生理学の試み -脳機能と筋活動を中心に-
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24657169
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平崎 鋭矢 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (70252567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 大志 山口大学, 獣医学部, 准教授 (50301726)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ロコモーション / ニホンザル / NIRS / 二足歩行 |
Research Abstract |
本研究は、近赤外線分光法(NIRS)を用いて、霊長類が歩行する際の皮質運動関連領野および四肢体幹の局所的血液酸素動態を調べることで、これまで霊長類ロコモーションの研究で課題として残っている「中枢神経系の制御」、「筋の代謝」という2点を克服し、「血液酸素動態による運動分析法」を確立しようとするものである。 被験体には神経科学・運動学の知見が蓄積されているニホンザルを用い、多様な歩行(四足、未熟な二足、熟練二足など)でのNIRS信号の分析を試みる。計測が成功すれば、今後の霊長類ロコモーション研究に新たなツールをもたらし大きな可能性を拓く。また計測結果からは直立二足歩行の進化の理解に貢献する手がかりが得られるだろう。 24年度は、研究費の配分額が、計測に不可欠な近赤外線組織酸素モニタ装置一式の価格を下回ったため、装置の一部のみを購入した。したがって計測はまだ行なわれておらず、24年度は実験準備期間として用いられた。具体的には、実験で使用するニホンザルの馴化、トレーニングを行い、トレッドミル上および床上で二足歩行あるいは四足歩行するニホンザルモデルを2頭作成することができた。このようなモデルの作成は、全国的にみても数箇所でなされているのみである。また、分担者とともに、NIRS研究に関する情報収集と25年度の実験計画の作成を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究費の配分額の都合で、当初から計測に不可欠な「近赤外線分光法(NIRS)による組織酸素モニタ装置一式」をすべて購入できないことはわかっていた。そのため、24年度は研究準備期間とした。実験に用いるニホンザルモデルの作成と、NIRS研究に関する情報収集、および25年度の実験計画の作成を分担者とともに行なう予定であった。それらの目的は概ね達成された。トレッドミル上で歩くサルモデルについては、2頭を作成した。NIRSについては多数の文献を、分担者と協力して収集し分析した。実験計画についても、装置の改良点(プローブの送受光間距離等)を検討し、準備はほぼ整った。装置の一部の購入も行ない、25年度に残りの部分を購入すれば、計測は開始できる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に購入できなかった装置の残りの部分(ソフトウェアおよび改良型プローブ)を購入する。購入後、まずは筋活動の分析について、従来の筋電図による分析と、本研究による酸素動態分析の相関や相違点等について検証を行なう。この作業には、ヒト被験者を用いる。平行して、被験体(ニホンザル)の計測装置への馴化を、ダミーのプローブ等を用いて行なう。検証と馴化が終了し次第、ニホンザルの歩行中における筋の代謝活動計測を開始する。対象とする筋は、後肢の筋(前傾骨筋、腓腹筋、大腿二頭筋、大腿直筋)である。筋の計測が終了した時点で、脳活動の計測に移行する。ダミーのプローブを頭部に装着して馴化を行った後、両側一次運動野、運動前野、補足運動野の歩行中における酸素動態を計測する。データ収集の終了後、結果を検討し、報告を行なうとともに、次のステップへ向けた実験計画を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当無し
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Research Products
(2 results)