2013 Fiscal Year Annual Research Report
血液酸素動態分析を用いた霊長類の歩行生理学の試み -脳機能と筋活動を中心に-
Project/Area Number |
24657169
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平崎 鋭矢 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (70252567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 大志 山口大学, 獣医学部, 准教授 (50301726)
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Keywords | NIRS / ロコモーション / 酸化ヘモグロビン濃度 / 代謝 |
Research Abstract |
本研究は、近赤外線分光法(NIRS)を用いて、霊長類が歩行する際の四肢体幹および皮質運動関連領野の局所的血液酸素動態を調べることで、「血液酸素動態による運動分析法」を確立しようとするものであった。 初年度の配分額が計測に不可欠なNIRS装置一式の価格を下回り、装置全体の購入完了が25年度にずれ込んだため、実験計画にも予定から約1年のずれが生じた。25年度末時点においては、本来24年度に行うべきだったヒト被験者での予備実験、および本実験で使用するニホンザルの馴化が終了している。予備実験では成人2名が各種運動を行なう際の筋(前腕屈筋群、腓腹筋)の血液酸素動態を記録した。比較のために同じ筋の隣接部位から筋電図も記録した。その結果、60Hzで記録された持続波型NIRS信号は対応する筋収縮をよく反映することが明らかになった。即ち酸化ヘモグロビン濃度は筋の収縮とともに減少し弛緩とともに増加する。また、そのグラフはタスクを反復するにつれ右下がりとなり、疲労の指標としての有用性が示された。ただし、筋電図の振幅とNIRS信号の振幅の間に明確な相関は無く、NIRS信号の振幅は筋活動の強度よりも収縮持続時間に関わっていた。また、筋の収縮開始時に血管が圧迫され、一時的に血流が低下することにも留意が必要である。さらに、歩行タスクにおいては、重力と下肢の動きによる加速度が血流量に影響を与えた。その他、空間分解能に劣ること、皮下脂肪の影響など、注意すべき点が明らかになった。しかし、非侵襲的、かつリアルタイムに筋の活動パターンを記録でき、疲労の情報がわかりやすい形で得られること、他の電気的装置との干渉がないこと、一時的動脈血流遮断法を使えば代謝情報を測定できることなど、利点も多い。筋電図と使い分けることで有用なツールとなり得る。装置購入の遅れによる未達成の部分については、期間終了後も計測と解析を継続する。
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Research Products
(2 results)