2012 Fiscal Year Research-status Report
キノコ類のゲノム多様性からヒト進化の新知見を得るための試行的研究
Project/Area Number |
24657171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
中山 一大 自治医科大学, 医学部, 助教 (90433581)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人類学 / 進化 / キノコ類 / ゲノム多様性 |
Research Abstract |
ハラタケ目ベニタケ科の野生キノコ一種について、全ゲノム塩基配列決定をロシュGS Juniorシーケンサーを用いて行った。当初はペアエンド法とショットガン法の併用を予定していたが、収集したDNAの断片化が著しく、ショットガン法のみでの解析で約700ギガベースの塩基配列データを収集した。研究対象とした野生キノコでは、原因は不明であるが従来の手法では高品質ゲノムDNAの抽出することが困難であることが明らかになったので、DNA抽出条件の至適化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたキノコ1種の全ゲノム塩基配列決定作業は、概ね完遂できた。ただし、ショットガン法によって得られたコンティグのギャップを埋めるためのペアエンド法が、DNAの品質の問題のために実施できなかったので、これについては平成25年度の夏以降に同種のキノコの子実体が入手できた後に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度の作業を引き継いで当該キノコのゲノム前塩基配列決定を完了し、バイオインフォマティクス解析によるゲノム多様性情報の整理を行うとともに、他のキノコ類で利用可能な遺伝的マーカーの探索をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
得られたキノコゲノムのドラフト配列から、遺伝子領域予測・ヘテロ接合となっている多型部位を予測するには、ジナリス社が提供するゲノム解析クラウドサービスGiNeSを利用する。分子進化学的解析手法を用いてゲノム情報を種間比較することにより、種特異的な遺伝子の有無、遺伝子ごとの配列保存度と特定の種で正の自然淘汰が作用した遺伝子の同定とそのジーンオントロジー解析、高度に保存された遺伝子間領域、保存度が低い遺伝子間領域の同定などを行う。 パイロシークエンシングで同定された多型部位のうち、同法での正確なベースコーリングが難しい短い挿入/欠失多型および繰り返し多型については、従来のサンガー法を用いて塩基配列の確認を行う。長大なコピー数多型については蛍光定量PCR法(Applied Biosystems社 ABI7900)を用いて確認する。 種内・種間多型性の検証 全ゲノム解析によって同定された多型部位および塩基置換率の高い領域について、申請者が国内野外フィールドおよび市場から収集した野生キノコ類、株式会社ハイファジェネシスから購入する日本産きのこ子実体粉末より抽出したDNA試料を材料に、生物地理学的解析に応用可能な座位の同定を目指す。
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