2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24657173
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
海部 陽介 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (20280521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 大輔 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (60432332)
西村 剛 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (80452308)
矢野 航 朝日大学, 歯学部, 助教 (80600113)
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Keywords | 進化 / 人類学 |
Research Abstract |
変形性斜頭(赤ん坊の柔らかい頭骨が外圧で歪む現象:DP)がヒト特有で、かつ人類進化史の中で生理的早産と関連して同時に現れ、それゆえ後者の進化を研究する際の示標として使えるという新しい仮説(DP仮説)を検証することが、本プロジェクトの目的である。そのため、1)ヒト以外の霊長類に後天的なDPは存在しない、2)ヒト以外の霊長類では出生時の頭骨の成長がヒトよりも進んでいる、の2つの予測について調査した。 1)に関連するデータとして、東京と沖縄の日本人集団約400個体、チンパンジー392個体、ボノボ164個体、ゴリラ226個体分に加え、平成25年度にドイツにてオランウータン216個体分の頭骨計測データを収集した。本年度は、ベルギーの研究機関にて、先に採取済みであった類人猿データの一部の再検証も行った。これらを解析したところ、1)の予測通り、ヒトの歪みの程度が大きいことが示された。 2)平成25年度の作業の一環として、日本モンキーセンターで育てられたチンパンジーの若年個体のCT撮影を、京都大学霊長類研究所にて実施した。残念ながら、これらの個体の頭骨は破損がひどく、データ抽出に耐えるものではなかったことが判明した。しかし上記乾燥頭蓋の新生児の頭蓋縫合閉鎖状況を記録してあるので、このデータを使えば当初の目的は達成できる。 以上のように、予定していたデータ取得を期間内に終え、現在結果のまとめを行っている。霊長類学会大会などの機会を利用し、他の霊長類・発育関連の専門家からも有用なアドバイスを受けながら、そうした作業を進めている。
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