2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24657183
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Research Institution | Osaka International University |
Principal Investigator |
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (70144566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 博之 大阪信愛女学院短期大学, その他部局等, 教授 (00203448)
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Keywords | 滞在温湿度 / 衣服内温湿度 / クーラー使用時間 / 行動性体温調節 / 季節変化 / 高齢者 / 年齢差 / 性差 |
Research Abstract |
本研究では,1)70歳代女性と20歳代女性各9名の日常生活下における温熱的生活環境(滞在温湿度,衣服内温湿度,クーラー使用時間など)を5~10月まで毎月調査し,高齢者の温熱的生活環境特性を季節変化および月別の年齢差から検討した.さらに,2)8月に20歳代男性,80歳代男性・女性の温熱的生活環境も測定し,昨年度の20歳代女性,70歳代男性・女性のデータを加えて,夏季における温熱的生活環境の性差・年齢差も検討した.なお,各被験者の温熱的生活環境は3日間の連続測定データに基づき,屋内に滞在した時間帯(睡眠時を除く:以下,屋内と略す),就寝した時間帯,屋外に滞在した時間帯に区分して,データを整理した. 1) 屋内滞在温度は,高齢者・若者とも5月から6・7月まで上昇し,上昇した値は両群とも8月まで保たれ,その後9・10月と順次低下した.屋内滞在温度は7月(30.4±0.8 vs. 28.8±0.8℃)・9月に高齢者が若者より有意に高く,その傾向が8月にも認められた.屋内滞在湿度は高齢者・若者とも5月から6月に上昇し,その後8月から9月に下降し,7月(65±3 vs. 57±3%)・8月で高齢者が若者より有意に高かった.すなわち,7月から9月において高齢者は若者より高温高湿の屋内で生活していた. 2) 8月における20・70・80歳代の温熱的生活環境には性の影響はほとんどみられなかったが,70・80歳代が20歳代より高温多湿の生活環境に滞在していることが明らかにされた.この年齢差は,屋内でのクーラー使用時間が短く,使用時の屋内温度が高いことに起因していた. これらの行動性体温調節に関する知見と老化に伴い自律性体温調節能力が減弱することを考え合わせると,熱中症予防策として特に7月から9月は高齢者ほど屋内の温湿度をこまめにチェックし,クーラーの設定温度を28℃以下に保つように推奨したい.
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