2014 Fiscal Year Annual Research Report
常緑性C4植物トキワススキの耐冷性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
24658016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 直大 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (70466811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大杉 立 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40343107)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | C4植物 / トキワススキ / 耐冷性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、耐冷性の強いC4植物であるトキワススキと近縁種で耐冷性の弱いススキを多面的に比較することによって、トキワススキの形態、光合成、代謝生理における特徴を明らかにするとともに、耐冷性に関わる代謝レベルおよび分子レベルでの知見を得ることを目的とした。本年度は、これまでに得られたトキワススキの生理生態学的特性に関する知見を確認するとともに、耐冷性に関する生化学的および分子生物学的実験を進めた。 東京大学弥生キャンパス内の圃場にてトキワススキ(3系統)およびススキ(1系統)を栽培し、年間を通して生育状況を比較することによって、トキワススキの高いバイオマス生産能や耐冷性が確認された。研究例が非常に少ないトキワススキを近縁種であるススキと同条件で栽培・比較して得た知見は、今後、研究を進める上で重要な基本情報になると考える。 前年度に引き続き、グロースチャンバー内での冷温処理実験を行った。生育条件(ポットの大きさ、温度、日長)および冷温処理条件を変えて葉色の変化や生育を観察したが、いずれの実験においてもススキよりトキワススキの方が葉におけるアントシアニンに蓄積が顕著で、生育が明らかに悪くなった。圃場にみられたトキワススキの耐冷性がグロースチャンバー内では再現できなかったことにより、代謝レベルや分子レベルでの特徴を明らかにするための生化学的・分子生物学的解析に遅れが生じた。 現在は、圃場で栽培した株から今年度の冬期にサンプリングした葉を用いて、メタボライトおよび酵素活性の解析を進めている。また、同サンプルからmRNAを調整し次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子発現解析を予定している。 今後は、これまでに得られているトキワススキの形態・生理・生態学的特徴をHP等を通じて積極的に公表するとともに、今後得られる生化学的・分子生物学的解析データを加えて英文原著論文として発表する予定である。
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