2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24658022
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金山 喜則 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10233868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 仁 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40206280)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 機能性 / 果実 / 糖 |
Research Abstract |
園芸市場における消費者の多様なニーズや輸出促進に対応した高付加価値化の必要性が求められており、果実の品質として、甘さや大きさに加えて機能性の重要性が高まっている。本研究では、従来のビタミンやポリフェノール類などのカテゴリーに入らない新規の機能性成分に注目している。特に、これまでの機能性成分は抗酸化に関わる物質がほとんどであったことから、抗酸化に関わらない抗肥満作用などを有する果実成分に着目し、解析することを目的とする。 グルコース誘導体を比較的高濃度で含むシーベリー(Hippohpae rhamnoides)は、亜種としてspp. rhamnoidesやspp. mongolicaなど広範な分布を示すいくつかの亜種を有しており、それぞれの亜種特有の性質を示すことが知られている。そこで平成24年度は亜種およびそられの交雑実生等を対象として果実成分の解析を行い、グルコース誘導体や関連物質の遺伝的多様性を検討した。また、シーベリーの転流糖はスクロースであることが明らかにされているため、スクロースからグルコース誘導体その他関連物質への代謝・蓄積過程を検討することによって、当該物質等の合成機構の一端を調べることを目的とした。 検討の結果、糖関連物質の組成や含量について、品種、系統間差が見られることが明らかとなった。また、グルコース誘導体は,他の炭水化物の一次代謝に関わる糖類にくらべると、比較的、不活性なプールとして存在していることなどが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、近年の園芸市場において、消費者の多様なニーズや輸出促進に対応した高付加価値化の必要性が求められていることから、果実の品質として、甘さや大きさに加えて機能性の重要性が高まっているという背景に基づいている。特に本研究では、従来のビタミンやポリフェノール類などのカテゴリーに入らない新規の機能性成分に注目しており、これまでの機能性成分は抗酸化に関わる物質がほとんどであったことから、抗酸化に関わらない抗肥満作用などを有する果実成分に着目し、解析することを目的としている。 2年間の研究期間において上記の目的を達成するために、本年度は、グルコース誘導体を比較的高濃度で含むシーベリーHippohpae rhamnoidesを材料として用い、その生物的多様性を検討することとした。その結果、ほぼ予定通り、亜種間の差異などの成果や代謝の特性などを明らかにすることができたことから、おおむね順調な進展と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
シーベリーはグルコース誘導体を比較的多量に含む他、ビタミンCを比較的多く含み、さらには果実においてはめずらしいビタミンEの含量が高いことが知られている。また、各種成分の変動に関わると考えられる成熟ホルモンであるエチレンや環境ストレスの影響については、これまで調べられてこなかった。そこで今後は、機能性の発現において相乗効果が考えられる要因や、機能性成分の蓄積に影響し得る要因であるビタミン類や環境ストレス耐性について検討する。また、グルコース誘導体と同様に、非抗酸化物質としての機能性成分の解析を果実類において検討し、新たな機能性成分のグループの構築を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究を推進する過程において、本研究の目的にある、従来のビタミンやポリフェノール類などのカテゴリーに入らない新規の機能性成分の検討の必要性が増大した。特に、これまでの機能性成分は抗酸化に関わる物質がほとんどであったことから、抗酸化に関わらない抗肥満作用などを有する果実成分に着目し、解析することとし、挑戦的萌芽研究として当初予定を上回る成果をあげるため、さらなる新たな機能性成分の解析に研究費を使用することとして、24年度の使用を抑え、25年度の使用予定とした。
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