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2012 Fiscal Year Research-status Report

低温による熱帯果樹の着果不良と無核化のメカニズム

Research Project

Project/Area Number 24658028
Research Category

Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research

Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

樋口 浩和  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50303871)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords熱帯果樹
Research Abstract

熱帯果樹の生殖器官のみを精度よく温度制御するための装置を開発し、自作することに成功した。発砲スチロールの箱を樹木の形状に合わせて整形し、ウレタンフォームで密閉性を高めた結果、ターゲットとなる花器の周囲温度を、外気から10度以内の範囲であれば±2度以内に維持することが可能であった。
この装置を、熱帯果樹ライチとチェリモヤの生殖器官に取り付けた。受粉後の低温が胚発達に及ぼす悪影響に注目し、夕刻に開花するチェリモヤについては人工受粉に引き続いてその直後からその夜の気温を、日中に開花するライチについては受粉日の夕刻から装置を取り付けてやはり夜温を制御し、柱頭の花粉受け入れとその後の花粉管伸長を顕微鏡観察しつつ、さらに結実および種子形成への温度の影響を調査した。
チェリモヤは集合花であり、結実には100以上ある小果の半数近くが授精する必要があるが、顕微鏡レベルでの観察の結果、受粉日の夜温が10度を下回ることがなければ、結実に問題はないことが明らかとなった。夜温の低下に敏感に反応して着果に影響を及ぼす期間は授粉後3日間であり、その後は5度までの低温にさらされても胚発達に悪影響は見られなかった。このことから、チェリモヤの春先の温度管理はフレキシブルに管理することで現状よりもさらに低温で維持できることが可能となった。ライチは開花時期の季節的な違いが結実性に影響しているようで、夜温の影響が明確には現れなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現場で圃場実験を成功させるには使用する機材の加工や変更が容易なことが優先される。チャンバーには入手容易な発泡スチロールの箱を用いた。発泡スチロール製であれば植物の形状に合わせてその都度、現場での加工が容易である。制御装置は、小型・軽量・ポータブルに設計されている。この点がこれまでの市販品と決定的に異なる点であり、屋外、とくに樹上で個別の花や果実に対しての使用を容易にしている。外気温の変化が急激な場合には制御が追いつかない問題があったが、出力は想定していたよりも小さく、夏季の日中、外気よりも10℃下回る気温の維持には、装置3台を併用する必要があり、実用上問題があった。日射をアルミ箔の傘で遮ることで出力不足はかなり軽減されたが、それでも狙った温度を維持することは困難であった。そこで発想を転換し、低温がより深刻な影響を及ぼすのは日没後であるとの着想から、温度制御を夜間から早朝に限った。日射の影響がなければ温度制御は精度よくおこなうことができた。これにより、制御装置にかんする問題点はほぼ解消することとなった。
温度制御をおこなって授粉後の胚発達を観察する計画については、ライチに関しては、人工受粉によらずに結実する可能性が出てきたこと(単為結果している可能性がある)があり、このために温度の影響がマスクされ結果が捉えにくくなっている問題と、花に含まれる何らかの物質により顕微鏡観察のための切片が剥離しやすいという技術的な問題のために、計画より時間と労力を要している。チェリモヤについて、想定以上に進捗し、結実の可否を決定づける温度帯の特定がほぼ成功した。顕微鏡観察の画像データが膨大に蓄積しているのでこのデータを整理して、論文に仕上げる必要がある。

Strategy for Future Research Activity

温度制御装置の作成と改良はおおむね順調であり、これを用いて計画通りの研究を進める予定である。
チェリモヤ・レイシの他、マンゴー・パッションフルーツなどにも応用していくつもりである。パッションフルーツは蔓性であり、植物体の形状を実験しやすいように調整することが容易である。また、温度と結実性の問題もこれまでから栽培者が関心を持っていて、結実適温の特定がとくに求められているところである。マンゴーは、花序が大きく、温度制御箱にうまく入れるのに技術的な問題がある上、大きな箱を用いて温度を制御するのは出力不足の問題が生じる可能性が高い。この点の改良が必要になってくると思われるので、引き続き装置の改良には取り組んでいく必要がある。
種子形成への温度の影響について、チェリモヤと、とくにレイシについて、さらに研究を進める必要がある。授精の瞬間からその後の胚発達について、顕微鏡観察の経験値を高めながら詳細に観察してゆくことによって、温度と種子形成の関係性が次第に明らかになってゆくものと考えている。ただし、レイシにおいて、滑らかな切片の作成が困難であり、サンプル固定の方法を含め、技術開発を実験と並行して進める必要がある。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

該当なし

  • Research Products

    (2 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Anatomical Study on Seasonal Changes in Pistil Receptivity of Cherimoya (Annona cherimola Mill.)2012

    • Author(s)
      Hiroshi MATSUDA, Hirokazu HIGUCHI
    • Journal Title

      Tropical Agriculture and Development

      Volume: 56 Pages: 95-103

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ライチの花粉発芽に及ぼす培地組成および花粉の貯蔵温度の影響2012

    • Author(s)
      松田大志・樋口浩和
    • Organizer
      熱帯農業学会
    • Place of Presentation
      名古屋大学
    • Year and Date
      20121006-20121007

URL: 

Published: 2014-07-24  

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