2012 Fiscal Year Research-status Report
無核紀州型無核性カンキツの胚の発育停止はゲノムインプリンティング変異に起因するか
Project/Area Number |
24658029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北島 宣 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70135549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 安津 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (70582584)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 果樹 / カンキツ / 無核性 / 胚乳 / ゲノムインプリンティング |
Research Abstract |
シロイヌナズナで明らかにされているインプリンティング遺伝子MEA、DME、MET1、FIS2、FWA、PHE、SSRP1について、カンキツのゲノム情報をもとに相同性探索を行い、これらの遺伝子と相同性が高い、または同じファミリーに属するカンキツ遺伝子CLF、SWN、DME、ROS、MET1、FIS2、FWA、FWA2、PHEa、PHEb、SSRPが得られた。これらの配列をもとにプライマーを設計し、‘無核紀州’、キシュウミカン(有核)と‘大橘’のゲノムおよびcDNAをテンプレートとしたPCRを行い、増幅産物の塩基配列を調査した。その結果、ゲノムDNAでは9遺伝子にSNPが検出され、エキソン領域にSNPが検出されたのは8遺伝子で、‘無核紀州’とキシュウミカンの配列は一致していた。胚乳で発現するインプリンティング遺伝子が種子親由来か花粉親由来かを明らかにするためには、‘無核紀州’(=キシュウミカン)と‘大橘’が異なるアリルをホモで持つことが必須であるが、このような多型はFWA とPHEbで検出された。‘大橘’に‘無核紀州’を交配した若い種子のcDNAのFWAを調査した結果、‘無核紀州’型のみが検出され、花粉親のアリルのみが発現していることが示された。 ‘無核紀州’と‘大橘’、キシュウミカンと‘大橘’の正逆交雑を行い、上記カンキツ10遺伝子の発現を調査した結果、開花期の葯、胚珠および受粉1、2週間後の種子ではいずれも発現が認められた。 これらのことから、FWAはインプリンティング遺伝子であることが示された。今後、PHEbについても同様に調査するとともに、これら2遺伝子については、花粉管伸長中の花柱における発現や受精後の種子における発現が、種子親由来か花粉親由来かを詳細に明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでカンキツのインプリンティング遺伝子については未解明であったが、本年度の結果から、カンキツのインプリンティング候補遺伝子のうち、‘無核紀州’(=キシュウミカン)と‘大橘’が異なるアリルをホモで持つ2遺伝子が検出され、FWAがカンキツのインプリンティング遺伝子であることが示されたことは大きな収穫である。しかし、PHEbについては本年度の調査が不十分であり、この点についてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子発現が種子親由来か花粉親由来かの判別が可能なFWAとPHEbについて、‘無核紀州’と‘大橘’、キシュウミカンと‘大橘’の正逆交雑における遺伝子発現解析を行い、有核のキシュウミカンとその変異品種である無核の‘無核紀州’を種子親にしたときの種子・胚乳における発現の相違の有無を明らかにする。また、他の候補遺伝子について、‘無核紀州’(=キシュウミカン)と異なるアリルをホモで持つ品種を探索するために、キシュウミカンと細胞質型が比較的大きく異なるブンタン(水晶文旦、江上文旦、ポメロ白タイプ、CRC2240)やレモン(リスボンレモン)、ライム(メキシカンライム)について調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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