2013 Fiscal Year Annual Research Report
サブウイルスRNA病原体の失われた環を繋ぐ新型リボザイムの基本構造と新機能解析
Project/Area Number |
24658036
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐野 輝男 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (30142699)
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Keywords | サブウイルスRNA病原体 / サテライトRNA / ウイロイド / ハンマーヘッド型リボザイム / ヘアピン型リボザイム / 環状1本鎖RNA |
Research Abstract |
ウイロイドは環状1本鎖RNAからなる最小の病原体で、宿主植物に感染して自律的に複製する。一方、サテライトRNAは線状或は環状1本鎖RNAで、 “ヘルパーウイルス”粒子中に取り込まれウイルスに依存して複製増殖する。両方を併せて“サブウイルスRNA”と呼称する。環状サテライトRNAはウイロイド様サテライトRNAとも呼ばれ、リボザイム機能を有する。中国の Mosaic dwarf 病罹病桑樹から検出されたウイロイド様小環状RNA(以下mscRNA)について、今年度(2年目)は、その遺伝的多様性、特にリボザイム保存領域とそれ以外の領域の遺伝的多様性の違いを分析し、リボザイム機能発現に必須な配列情報を明確にし、新規な人工リボザイム設計に必要な情報を収集した。 昨年度までに発生を確認した中国江蘇省と陝西省産の桑樹から収集した44株のmscRNA分離株のうち、江蘇省の10分離株を無作為に抽出し、RT-PCR法で全長cDNAを増幅した後クローン化し、各分離株につき10個ずつのcDNAクローンの全塩基配列を解析し、各分離株集団内の遺伝的多様性を分析した。その結果、江蘇省10分離株と浙江省分離株は共に355ヌクレオチドで構成され、江蘇省集団には3種の主要変異体が存在し、既報の浙江省分離株と4箇所、4箇所、2箇所でそれぞれ塩基置換変異が認められた。その内の一箇所の変異は江蘇省10分離株で共通に見られ、興味深いことにマイナス鎖のヘアピンリボザイムの自己切断部位の3’末端塩基に生じていた。また、江蘇省2分離株に見られたもう一つ変異はやはりマイナス鎖のヘアピンリボザイム保存領域のすぐ5’上流塩基に生じていたことから、これらの変異はマイナス鎖の自己切断活性に影響を及ぼす可能性が高く、結果として病原性の違いに関与する可能性も示唆された。 以上、当初の目的に掲げたmscRNAのリボザイム機能に関与する可能性のある遺伝的多系を検出することができ、論文投稿(Sagawaら)の準備を進めている。
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