2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物はウイルスに寄生するRNAを新たに編み出してウイルスに抵抗している
Project/Area Number |
24658038
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
夏秋 知英 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10134264)
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Keywords | キュウリモザイクウイルス / サテライトRNA / 感染性クローン / 接種 / 継代 |
Research Abstract |
キュウリモザイクウイルス(CMV)の感染性クローンをNicotiana benthamiana に接種して数回継代接種すると、自然にサテライトRNA(satRNA)が出現する現象が見出された。このsatRNA は、全くCMV が存在しない人工気象器内で感染性クローンの接種実験を繰り返すと出現した。しかしその出現条件は安定しなかった。そこでsatRNAが出現する条件を明らかにするために、再現試験を実施した。しかし結論として、satRNAの自然出現頻度はそれほど高くなかった。 まず、CMVにおいてsatRNAが出現する植物種を調査したところ、N. benthamianaでは2週間おきにCMVを検出しながら出来るだけ病徴の軽い葉を切り取って継代接種すると10代目以上でsatRNAが低率で出現した。しかし、出現には半年以上の実験期間が必要であり、条件を確立するには至らなかった。一方、メロンとシロイヌナズナでは継代接種によりこれまでsatRNAは全く出現しなかった。 しかし、N. benthamianaで出現したsatRNAを含むCMVをメロンに接種するとsatRNAは消失しなかった。一方、N. benthamianaではsatRNAの検出用プライマーでしばしば植物のRNA由来と考えられる分子も検出された。このことから、CMVの感染によりN. benthamianaではランダムにRNA編集が起きてsatRNAが出現するが、メロンやシロイヌナズナではそのようなメカニズムがないと考えられた。 以上より今後は、satRNAが出現する条件をより明確にし、出現する場合はsatRNAの塩基配列の起源となるウイルス及び植物のRNA分子を明らかにすることが極めて重要であると考えた。なお、2週間おきに10回以上の継代接種が必要なため、長期間にわたって実験する必要があることも判明した。
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