2012 Fiscal Year Research-status Report
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24658039
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
有江 力 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00211706)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 病害防除 / 生物防除 / 非病原性菌株 / 花器処理 / 種子 |
Research Abstract |
(1)イネ組織に定着性を有する非病原性株の選抜:ばか苗病発生圃場で、病徴を示していないイネ植物体を主な対象とし、採集、表面殺菌後に、選択培地等を用いてフザリウム属菌約200 株を分離した。これらの菌株を、すでにイネから分離・収集、保存済み菌株(約50株)と併せて以下の試験に供試した。 (2)ばか苗病防除効果の検定:ばか苗病菌人工汚染種子を、上記で選抜した非病原性株の胞子懸濁液に浸漬処理、その後、播種・栽培し、ばか苗病によって顕わされる立枯れ・黄化・徒長等の病徴を抑制する効果を示すか、をポット試験で検定、発病抑制効果を示す非病原性株4株を選抜した。選抜した菌株は、形態観察と分子解析によって、2株をFusarium oysporum、のこり2株をF. proriferatumと同定、保存した。一次選抜された株を対象に、イネ花器への処理によって次世代でのばか苗病に対する防除効果による二次選抜を開始した。 (3)非病原性菌株の植物組織内動態と作用機作の解析:(2)で選抜されてくる候補非病原性株について、動態観察を容易にするため、蛍光タンパク質(GFP)発現株を作出した。形質転換の方法はKato (2012)に準じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
選抜した菌株のうち、2株の非病原性F. oxysporumの胞子懸濁液の花器噴霧処理は、ポット試験だけでなく、東京都府中市の圃場試験でも効果が認められ、すでに宮城県古川農業試験場、青森県農業試験場における圃場試験も行った。効果が認められたため、特許出願を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)イネ組織に定着性を有する非病原性株の選抜:すでに特許出願を行った非病原性F. oxysporum2株に加え、非病原性Fusairum属菌、その他、Trichoderma属菌、Talarimyces属菌なども同様な花器処理用の生物防除資材として有効であるか調査する。 (2)イネばか苗病に加え、いもち病、もみ枯細菌病等、他の病害に対する適用拡大の可能性を探る。 (3)圃場試験を、東京都、宮城県、青森県で行い、品種や栽培環境などが異なった場合の生物防除効果の及ぼす影響を調査、効果の確実性を検討する (4)非病原性菌株の植物組織内動態と作用機作の解析をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
生物防除資材微生物や病原微生物培養にかかる培地類・試薬類・器具類・キット類等、植物栽培用の圃場および施設使用料・栽培器具類・培土類・肥料・農薬類等、実験室での解析に使用するキット類・器具類・試薬類、圃場試験および成果報告にかかる旅費交通費(レンタカー利用にかかる費用含む)・印刷代・校閲費・投稿料等、データ解析に用いる文具類等のために使用する。
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Research Products
(3 results)