2012 Fiscal Year Research-status Report
Building blocks法による高効率多重遺伝子サイレンシング系の確立
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24658040
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中屋敷 均 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50252804)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | RNAi / いもち病菌 / 細胞壁加水分解酵素 |
Research Abstract |
本研究で提案しているBuilding blocks法はRNAiの新しい手法であり、複数のターゲット遺伝子から40~60bp程度配列を選び、それらをつないだ合成DNA配列によりサイレンシングを誘導するものである。本年度は、イネ科植物いもち病菌を用い、その病原性因子である細胞壁加水分解酵素を解析対象とした。いもち病菌は2002年にゲノム配列が公開されており、今回対象とするキシラナーゼとセルラーゼの一種であるCellobiohydrolaseは、それぞれゲノム上に11個、9個の遺伝子が存在し、ファミリーを形成している。これらの保存領域から、各遺伝子に固有の配列をそれぞれ約50bpずつ選抜してつなげた仮想上の保存配列を化学合成し、トリガー配列とした。当研究室で開発したpSD1ベクターを用いていもち病菌に導入した所、対象とするすべての遺伝子で、発現が低下した形質転換体を得ることができた。これらの形質転換体の病原性を調査すると、キシラナーゼのRNAi株では細胞壁をまったく陥入できない変異体が半数以上となり、CellobiohydrolaseのRNAi株では、細胞壁までは侵入するもののパピラ形成により、細胞内への侵入が阻止されていることが明らかとなった。これらのRNAi株では完全に病原性を消失はしていないものの、形成される病斑の数や大きさが有意に減少していた。以上のことから、これまで変異体作成による表現型が得られなかったキシラナーゼやセルラーゼといった細胞壁加水分解酵素がいもち病菌の病原性因子として有効に機能していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は、一年目にBuilding blocks法を用いていもち病菌における細胞壁加水分解酵素の機能解析を行うこととなっており、研究は計画通りに進み、得られた結果も妥当なものであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、Building blocks法により、保存配列を共有するファミリー遺伝子のマルチRNAiを行ったが、次年度は配列にまったく共通性がない複数の遺伝子のマルチRNAiに取り組む予定である。これにより糸状菌において、本当に50bp程度のトリガー配列でサイレンシングが起こせるのか、またどのような配列が効率よくサイレンシングを誘導するのかといった点を精査する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
どのようなRNAiトリガーが有効にサイレンシングを誘導するかを調査するために、DNA合成に重点を置いて研究費を使用する。また、PCRが一台故障して使用不能となったため、これを補うために、新規に購入する予定である。
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Research Products
(5 results)