2012 Fiscal Year Research-status Report
アカパンカビモデル糸状菌を用いたウイルス/宿主相互作用解析系の確立
Project/Area Number |
24658041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鈴木 信弘 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (70206514)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイコウイルス / トランスフェクション / 宿主範囲 / 逆遺伝学 / dsRNA / RNAウイルス |
Research Abstract |
本研究の目的は、ウイルス感染の報告例がないアカパンカビ(Neurospora crassa, 子のう菌、糸状菌)で複製可能なウイルスを探索し、ウイルス/宿主相互作用解析のモデル系を確立することにある。アカパンカビでは利用可能な強力な遺伝学、さらには整備された各種研究ツールが利用可能である。これまでウイルス・宿主相互作用研究で着目されなかったこの系を利用し、新たな展開を図る。 本課題は3つの中課題1[アカパンカビ感染性ウイルスの探索]、 2[ウイルス病徴発現・複製に関与する宿主因子の同定]、3[ウイルス病徴発現・複製に関与するウイルス因子の同定]から構成させる。本年度は中課題1を実施した。具体的には以下の研究項目を遂行した。 1 クリ胴枯病菌感染性ハイポウイルスcDNA(Suzuki et al., JVI, 1999)をアカパンカビに導入した。2 Saccharomyces cerevisiae感染性ナ-ナウイルスcDNA(Esteban and Fujimura, PNAS, 2003) をアカパンカビに導入した。3 クリ胴枯病菌感染性マイコレオウイルス粒子(Suzuki et al., JGV, 2004; Hillman et al., JGV, 2004))をアカパンカビに導入した。 4 白紋羽病菌感染性メガビルナウイルス粒子(Chiba et al., JVI, 2009)をアカパンカビに導入した。5 1-4の形質転換体あるいはトランスフェクタントからウイルスRNA(複製中間型dsRNAあるいはmRNA)を抽出し、感染の有無を確かめた。しかし、すべて陰性であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験は予定通り遂行したが、感染性のウイルスが現在まで見つからなかった。現在のところ、いろんな原因が考えられる。例えば、使用したウイルスそのものがアカパンカビで複製能を持たない。あるいは、一部の導入アカパンカビで複製するが、多数の他の細胞には感染していない。2目はの要因はアカパンカビの増殖速度とも関連するかもしれない。従って、下の述べるような対策を講じて問題解決を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、考えられるありとあらゆる手法及びウイルスを使って、アカパンカビへのウイルス導入を図る。当研究室で新規パルティティウイルスの新たなトランスフェクションあるいはプロトフージョンによる新たなウイルス導入法をクリ胴枯病菌で開発した(Chiba et al., 2013)。さらに、これまで粒子感染性がないと言われてきたトティウイルスについてもクリ胴枯病菌へのトランスフェクションに成功した。本手法・ウイルスをアカパンカビでも試みる。その上で、予定の中課題を進める。中課題2では、感染性ウイルスをアカパンカビ変異株に菌糸融合により感染させ、ウイルス複製、病徴発現を詳細に比較・解析し宿主因子の網羅的解析を進める。中課題3では、ウイルス逆遺伝学、ウイルス遺伝子再編成株の利用あるいはウイルス遺伝子の高発現、ノックダウンにより病徴発現・複製に関与するウイルス因子を同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25当初予算(110万円)に加え、H24年度未使用分(40万円)を含め、適正に使用する。H24年度未使用分(40万円)は人件費と消耗品に当てる。
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