2012 Fiscal Year Research-status Report
青枯病菌のタンパク質分解酵素エフェクターによる過敏感反応誘導と罹病化機構の解明
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24658042
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
一瀬 勇規 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (50213004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向原 隆文 岡山県農林水産総合センター生物科学研究所, その他部局等, 研究員 (80344406)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | エフェクター / 非病原性遺伝子 / 過敏感反応 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
Rip36のプロテアーゼ活性ドメインHELIHを不活性型HALIHに改変させたrip36変異遺伝子 (rip36E149)を作出した.この変異遺伝子並びに野生型rip36遺伝子を、アグロバクテリウムを介した一過的発現プラスミドを用いてトルバムビガーで発現させた.その結果、野生型rip36遺伝子は過敏感反応(HR)を引き起こしたが、rip36E149AはHRを引き起こさなかった.また、両遺伝子をRalstonia solanacearumの非宿主タバコで発現させてもHRは誘導されなかった.さらに、R. solanacearumの野生株はトルバムビガーにHRを誘導したが、本菌のrip36欠損変異株 (Δrip36)並びにRip36のアミノ酸置換変異株 (rip36E149A)を接種してもHRは誘導されなかった.以上の結果は、Rip36がタルバムビガーに特異的にHRを誘導する非病原力因子であることを示している.さらに、Rip36E149AはRip36と同レベルで植物細胞に移行することを確認した.このことは、Rip36のトルバムビガーに対するHR誘導能にプロテアーゼ活性が必須であることを示している.一方、Δrip36、rip36E149Aの両変異株ともに宿主ナスの罹病性品種千両2号に対する病原性に影響は与えず、Rip36は本菌の千両2号に対する病原性に必須ではないことが判明した.これらの成果は論文としてまとめ、現在国際誌に投稿中である. さらに、Rip36の植物における相互作用分子(プロテアーゼの推定の基質)を探索するため、酵母two-ハイブリッドシステムを用いて相互作用分子のcDNAをスクリーニングした.これまでに複数の候補クローンが得られたが、真の相互作用分子であるかは不明である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アグロバクテリウムによる野生型変異型の両Rip36タンパク質の一過的発現系、Δrip36, rip36E149A変異株の作出に成功し、それらを用いた一連の研究結果をまとめて現在国際誌に投稿中である.酵母two-ハイブリッドシステムを用いたスクリーニングは先行実施している.
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Strategy for Future Research Activity |
酵母two-ハイブリッドシステムを用いたRip36の相互作用分子の同定を第一の目標とする.さらにデータベース解析からPseudomonas syringaeにおけるRip36のオルソログHopH1を見出し、HopH1にもトルバムビガーに対するHR誘導能を有することが予備実験により示された.全ゲノム配列が解読されているP. syringaeの系を利用することにより、Rip36エフェクターファミリーの機能解析がさらに進展すると期待される.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の多くは酵母two-ハイブリッドシステムを用いてRip36の相互作用分子を同定するための試薬に使用する.また、研究費の一部は成果発表のための学会参加費・旅費、論文発表のための英文校正費、投稿料、印刷費に使用する.
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Research Products
(2 results)