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2012 Fiscal Year Research-status Report

病原体認識機構に基づく新規植物病害抵抗性遺伝子探索法の開発

Research Project

Project/Area Number 24658044
Research InstitutionEhime University

Principal Investigator

小林 括平  愛媛大学, 農学部, 准教授 (40244587)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords植物 / ウイルス / 抵抗性遺伝子 / タンパク質間相互作用 / 酵母ツーハイブリッド法
Research Abstract

これまで、植物の病害抵抗性遺伝子は植物体への接種試験によって発見され、その単離はポジショナルクローニング法によることが多く、膨大な時間と労力を要していた。近年、既知の抵抗性遺伝子の塩基配列情報を利用した抵抗性遺伝子探索法も利用されるようになったが、我々のこれまでの研究から、この方法も必ずしも遺伝子単離に結びつかないことが分かった。そこで、我々は抵抗性遺伝子がコードしている抵抗性タンパク質が病原体を認識するメカニズムを利用して、新たな抵抗性遺伝子を探索する方法を考案した。抵抗性タンパク質が病原体タンパク質を認識する際、それぞれが直接相互作用するだけでなく、第三のタンパク質因子(共役因子)を含むタンパク質複合体を形成すると考えられている。我々はこれまでにトウガラシのトバモウイルス抵抗性に関わるL抵抗性タンパク質の共役因子、LIPM1およびLIPM2を酵母ツーハイブリッド(Y2H)法によって単離した。本研究は、これら共役因子との相互作用を利用して新規の抵抗性遺伝子を探索する方法を確立することを目的とした。今年度はまず、抵抗性タンパク質のN末端領域をY2H用のDNA結合ドメインのN末端側に融合させる形でcDNAライブラリーを作製する方法を確立した。そして、トウガラシおよびL抵抗性タンパク質と同様にトバモウイルスの外被タンパク質を認識する抵抗性遺伝子を持つことに知られるナスにおいて、同法によって多様なcDNAをクローニングすることができることを見出した。さらにそれらのライブラリーからLIPM1および/またはLIPM2と相互作用するcDNAクローンをY2Hによって選抜することが可能であることを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度の当初計画では、LIPM1およびLIPM2を用いてL抵抗性タンパク質をトウガラシのcDNAライブラリーから単離する条件を検討する計画であった。しかし、L抵抗性タンパク質のCCドメインにおいてLIPM1およびLIPM2との相互作用に与る領域を同定し、N末端部位は相互作用に関与しないことが明らかとなった。それゆえN末端配列の多様性を無視し、共通プライマーを用いてcDNAを合成することが可能となった。そこで予定を前倒しし、ナスのcDNAライブラリーも並行して解析することとした。これまでにトウガラシおよびナスのcDNAライブラリーから、LIPM1およびLIPM2のいずれを用いた場合にもこれらと相互作用するクローンが多数得られることを明らかにした。すなわち、ナスの候補クローンが得られているという点では計画を上回る成果が得られている。しかし一方で、トウガラシで予定していたスクリーニング条件の検討を後回しにしたことから、全体としてはほぼ計画通りの達成度と考える。

Strategy for Future Research Activity

上述のようにすでにナスからLIPM1および/またはLIPM2と相互作用するタンパク質のcDNAクローンが得られており、これらについて塩基配列を決定する。続いてその全長配列を取得する。この目的で3´-および5´-RACE法を行い、抵抗性タンパク質のC末端領域および5´非翻訳領域の塩基配列情報を取得し、その情報を用いて全長配列をPCRで増幅してクローン化する。これについて全塩基配列を決定するとともにNicotiana benthamianaにおける一過性発現系を用いて抵抗性遺伝子としての機能を確認する。植物体への接種試験から、ナスのトバモウイルス抵抗性遺伝子はトマトモザイクウイルス(ToMV)に対する抵抗性を規定することを明らかにしたので、ToMV外被タンパク質との共発現によって過敏感細胞死を誘導するか否かで抵抗性遺伝子であるかどうかを確認することができる。また、この抵抗性遺伝子探索法の汎用性を高める目的で、より多様なcDNAを合成できる方法を用いて抗性遺伝子を探索することができるかどうか明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度はN. benthamianaにおける一過性発現系を用いて抵抗性遺伝子としての機能を解析するため、遺伝子組み換え実験(植物接種実験)を行うための植物インキュベーターを購入する予定である。また、3´-および5´-RACE法、クローニングおよびシークエンス解析に使用する酵素等の消耗品を購入する。また、順調に実験が進んだ場合は年度内に論文発表が可能と考えられ、その掲載料等も本補助金から支出する予定である。

  • Research Products

    (9 results)

All 2013 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (7 results)

  • [Journal Article] Gentian Kobu-sho-associated virus: a tentative, novel double-stranded RNA virus that is relevant to gentian Kobu-sho syndrome2013

    • Author(s)
      小林括平
    • Journal Title

      Journal of General Plant Pathology

      Volume: 79 Pages: 56-63

    • DOI

      DOI 10.1007/s10327-012-0423-5

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Functional Differentiation in the Leucine-Rich Repeat Domains of Closely Related Plant Virus-Resistance Proteins That Recognize Common Avr Proteins2012

    • Author(s)
      関根健太郎
    • Journal Title

      Molecular Plant-Microbe Interactions

      Volume: 25 Pages: 1219-1229

    • DOI

      10.1094/MPMI-11-11-0289

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Expression of Cauliflower mosaic virus Transactivator/viroplasmin in transgenic tobacco under the control of dexamethasone-inducible promoter2013

    • Author(s)
      Waliullah Sumyya
    • Organizer
      日本植物病理学会大会
    • Place of Presentation
      岐阜大学(岐阜県岐阜市)
    • Year and Date
      20130327-20130329
  • [Presentation] Avr機能獲得変異体を用いたトバモウイルス抵抗性タンパク質による認識機構の解析2013

    • Author(s)
      関根健太郎
    • Organizer
      日本植物病理学会大会
    • Place of Presentation
      岐阜大学(岐阜県岐阜市)
    • Year and Date
      20130327-20130329
  • [Presentation] リンドウこぶ症関連ウイルスが持つと考えられるこぶ症誘導因子の探索2013

    • Author(s)
      厚見剛
    • Organizer
      日本植物病理学会大会
    • Place of Presentation
      岐阜大学(岐阜県岐阜市)
    • Year and Date
      20130327-20130329
  • [Presentation] N´遺伝子抵抗性を打破したトウガラシ微斑ウイルス外被タンパク質人工突然変異株の特徴付け2012

    • Author(s)
      出原健吾
    • Organizer
      日本植物病理学会関西部会
    • Place of Presentation
      とりぎん文化会館(鳥取県鳥取市)
    • Year and Date
      20120927-20120928
  • [Presentation] Evaluation of the durability of N´ resistance gene to Pepper mild mottle virus using random mutagenesis of coat protein genes2012

    • Author(s)
      出原健吾
    • Organizer
      IS-MPMI 2012 XV International Congress
    • Place of Presentation
      京都国際会館(京都府京都市)
    • Year and Date
      20120729-20120802
  • [Presentation] The binding affinity to viral coat proteins determines the recognition specificity of allelic L tobamovirus resistance proteins2012

    • Author(s)
      関根健太郎
    • Organizer
      IS-MPMI 2012 XV International Congress
    • Place of Presentation
      京都国際会館(京都府京都市)
    • Year and Date
      20120729-20120802
  • [Presentation] Expression of viral partial sequence induces unique developmental abnormalities in stem and leaf tissues2012

    • Author(s)
      厚見剛
    • Organizer
      IS-MPMI 2012 XV International Congress
    • Place of Presentation
      京都国際会館(京都府京都市)
    • Year and Date
      20120729-20120802

URL: 

Published: 2014-07-24  

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