2012 Fiscal Year Annual Research Report
性フェロモン受容系の遺伝的機能改変による高感度匂いセンサカイコガの開発
Project/Area Number |
24658049
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 健志 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (20506761)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内野 恵郎 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニット, 研究員 (90563627)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 昆虫 / 生体機能利用 / 匂いセンサ / カイコガ / 嗅覚受容体 |
Research Abstract |
カイコガのオスはわずか170分子のフェロモン(ボンビコール)の匂いを触角中のボンビコール受容細胞で検知すると、匂い源への定位行動を発現する。本研究課題では、昆虫の一般臭嗅覚受容体をボンビコール受容細胞で発現することで、カイコガの定位行動の匂い選択性を改変する技術を確立し、カイコガ生体の匂いセンサとしての利用可能性を検証することを目的とした。 まず、キイロショウジョウバエの一般臭嗅覚受容体遺伝子から匂い選択性の異なる2遺伝子(Or82a、Or43b)を選択し、これらのタンパク質翻訳領域をUAS下流につないだUAS-Or82aとUAS-Or43b組換え遺伝子をもつ系統を作出した。これらの系統を、ボンビコール受容体遺伝子BmOR1のプロモーターでGAL4を発現する系統と交配し、ボンビコール受容細胞での遺伝子発現の誘導を行った。RT-PCRによる遺伝子発現解析の結果、GAL4とUASの両方の組換え遺伝子を持つオスの触角におけるキイロショウジョウバエの嗅覚受容体遺伝子の発現が確認できた。そこで、Or82aのリガンドである酢酸ゲラニルに対する匂い源定位行動を羽ばたき行動を指標として検証した。その結果、Or82aを発現する系統のオスは酢酸ゲラニルに対して、羽ばたき行動を発現したが、酢酸ゲラニルに反応しないOr43bを発現する系統のオスは同濃度のゲラニル酢酸に対して羽ばたき行動を示さなかった。以上より、遺伝子組換えによる一般臭嗅覚受容体遺伝子の導入によりカイコガの定位行動の匂い選択性を改変できる可能性が示唆された。並行して、受容体遺伝子導入カイコガの高感度化に向けて、匂い結合タンパク質とsensory neuron membrane protein-1の解析を行い、これらが嗅覚受容体の応答の高感度化に有効である可能性を示唆する結果を得た。これらの成果をとりまとめ国内学会で発表を行った。
|
Research Products
(5 results)