2013 Fiscal Year Annual Research Report
共生ウイルスとテラトサイトが作る寄主環境の調節機構の解析
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24658050
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 利治 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30227152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中松 豊 皇學館大学, 教育学部, 准教授 (00456617)
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Keywords | 細胞性防御反応 / テラトサイト / コマユバチ科 / virus-like particle / 寄主制御因子 / トリプシン様タンパク / 脂肪体 |
Research Abstract |
寄主は、体内に侵入した寄生バチの卵などの異物に対して細胞性免疫応答により排除しようとする。寄主体内でハチが発育するには、寄主の免疫応答を逃れる必要がある。つまり、卵とともに寄主に注入される共生ウイルス(PDV)やウイルス様タンパク質(VLP)と毒液(V)および卵が孵化し幼虫になる時にテラトサイトと呼ばれる細胞が、寄主の細胞性免疫の制御およびハチ幼虫の養分を寄主を傷つけずに手に入れる働きを持つことがわかってきている。本研究では、2種類のハチを同時に寄生させたり、片方を寄生させ、もう一方のPDVとVを人工的に注入することでどのようにハチの発育が影響を受けるかを明らかにした。また圃場で天敵としてうまく利用する場合に起こる多重寄生についての不都合な点についても示した。 Coteia ruficrus(Cr)が寄主の5令に産卵した場合、非常に低い寄生成功率10%前後であるのに対し、カリヤコマユバチCotesia kariyai(Ck)のPDV+Vを同時に注入することで、寄生成功率が70%近くまで上昇することがわかった。これはCrが5令寄主に寄生できないのは、寄主の生体防御反応を制御出来ないことが原因であることがわかった。またMeteorus pulchricornisの持つVLP(virus like particle)は毒性が高く、他の寄生蜂が寄生しても最終的にはMpが寄主から脱出してくる。このハチは同種寄生でも一匹しか生き残らないことから生理的ストレスが存在することを明らかにしたが、そのストレスタンパクの精製には至らなかった。 特にMpの寄生後4,5日目のテラトサイトからは、VLPにコードされている細胞性免疫応答を抑制するMp17およびtrypsin様タンパク質の生産により、テラトサイトによる寄主脂肪体の局所的分解がカリヤコマユバチの場合と同様に行われていることを証明した。
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Research Products
(3 results)