2012 Fiscal Year Research-status Report
ハスモンヨトウ幼虫を用いた香気物質由来ヒト代謝産物の生産システム構築
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24658055
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
宮澤 三雄 近畿大学, 理工学部, 教授 (40140305)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 応用昆虫 / ハスモンヨトウ / 体内動態 / テルぺノイド |
Research Abstract |
今回、植物香気物質(揮発性テルぺノイド)の各種生体触媒を用いた代謝研究から、ヒトとハスモンヨトウ幼虫の代謝経路が酷似していることを見出したことから、本研究では、生体触媒としてハスモンヨトウ幼虫を有効利用した植物香気物質のヒト代謝物質を、安価に供給できる生産システムの構築およびヒト代謝物質の機能性解明を目的とする。 研究計画調書[1]である香り物質のヒトによる代謝経路、代謝物の探索を行うため、様々な植物等に含まれる香り物質である nerol, geraniol および myrtenol を基質としてヒト肝による代謝研究を行った。まず、 in vitro 系を用いたヒト肝ミクロソームの代謝実験を行い、数種の代謝物をそれぞれ確認し、その化学構造を解明した。この代謝物がどの分子種によって代謝されたのかを決定するために主にヒト肝に含有する11種の分子種で検討、また特異的な阻害剤を用いてさらなる検討を行い、代謝に関与する分子種を決定することに成功した。上記の試験により、各基質に対するヒトの代謝反応に関与するP450分子種および代謝物の立体化学を含めた化学構造を決定した。ヒトによる代謝経路を明らかにしたことから、次のステップである研究計画調書[2]香り物質のハスモンヨトウによる代謝経路、代謝物の探索について研究を行った。その結果、各基質のハスモンヨトウによる代謝経路を解明し、代謝物の構造決定に至った。しかしながら、ハスモンヨトウはヒトと代謝経路は酷似しているが、本基質ではヒトの代謝物と同様のものが得られなかったため、その他の香り物質を用いたヒトのシトクロムP450で代謝反応を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画として [1]香り物質のヒトによる代謝経路、代謝物の探索 [2]香り物質のハスモンヨトウによる代謝経路、代謝物の探索 においてそれぞれ計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で用いた nerol, geraniol および myrtenol ではヒトの代謝産物と同様の物質がハスモンヨトウから得られなかったため、その他の揮発性化合物(テルぺノイド)特に、ハスモンヨトウで代謝が確立している基質を用いてヒトP450代謝の検討を加え、結果的に当初の目的であるヒト同様の代謝産物の生産をハスモンヨトウで行い、平成25年度研究計画調書[3]ハスモンヨトウによる大量生産システムの構築および[4]その代謝物の機能性・安全性の解明を検討する方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)