2013 Fiscal Year Annual Research Report
ハスモンヨトウ幼虫を用いた香気物質由来ヒト代謝産物の生産システム構築
Project/Area Number |
24658055
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
宮澤 三雄 近畿大学, 理工学部, 教授 (40140305)
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Keywords | 応用昆虫 / ハスモンヨトウ / 体内動態 / ヒト肝 / テルペノイド |
Research Abstract |
本研究は、これまでの植物香気物質(揮発性テルぺノイド)の各種生体触媒を用いた代謝研究から見出した結論、即ち、ヒトとハスモンヨトウ幼虫の代謝経路が酷似していることを基盤とし、生体触媒としてハスモンヨトウ幼虫を有効利用した植物香気物質のヒト代謝物質を、安価に供給できる生産システムの構築および科学的根拠に基づいたヒト代謝物質の機能性解明を目的とした。 まず、広く植物界に存在する香り物質である3種の鎖状のモノテルペン(nelol, geraniol, および myrtenol)を基質としてヒト肝ミクロソームの代謝実験を行い、その代謝に関与するP450分子種の決定および代謝物の化学構造を明らかにした。しかしながら、これら3種はハスモンヨトウと同様の代謝物が得られなかったため、さらに新たな4種の鎖状のモノテルペン(citronellol, linalool, lavandulol, および dihydromyrcenol)に対して同様の試験を実施し、各代謝物の構造、代謝に関与するP450分子種の特定を行った。その結果、期待したヒト肝と酷似した物質生産に成功した。この結果を踏まえて、ハスモンヨトウによるヒト代謝物の大量生産システム構築に着手した。Citronellol, linalool, および lavandulol ではハスモンヨトウを用いることで50%以上と比較的高い収率でヒト肝同様の代謝物を得ることに成功し、ヒトと同様の香り物質由来代謝産物の大量生産システムを構築することに成功した。本研究成果から、香り物質由来のヒト代謝産物が安価で、グローバル社会への供給が可能であることを示した。
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Research Products
(15 results)