2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ銀粒子の原子レベルの局所構造解析に基づく植物・小動物への移行特性の本質的理解
Project/Area Number |
24658062
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
橋本 洋平 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80436899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光延 聖 静岡県立大学, 付置研究所, 助教 (70537951)
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Keywords | 銀 / 土壌汚染 / ナノマテリアル |
Research Abstract |
銀化合物全般については,ナノ粒子に限らず土壌中での挙動がほとんど明らかにされていない.そのため,製造されたナノ銀が環境中に放出され,土壌や水系での挙動と運命,それらの生物・生態系への影響という一連の過程での網羅的な研究が必要であるが,特に出発点である土壌でのナノ銀の挙動解明が最も重要な課題である.今年度は,酸化条件(畑地の不飽和水分状態)ならびに還元条件(水田の飽和水分状態)の土壌における,ナノ銀粒子と銀化合物によって供試された銀の溶解性および化学状態の違いを明らかにすること,ならびに土壌に対する銀の吸着挙動について,吸着等温線を作成し評価することを目的とした.当初予定していた生物毒性試験は,土壌中の銀の挙動についての検討が不十分であったため,再試験を行ったために見送った.ナノ銀および硝酸銀添加土壌からの銀の溶出量は,還元条件よりも酸化条件の方が多いことが確認された.ナノ銀を添加した場合において,培養から30日後の還元条件の土壌からは銀の溶出が検出されなかったのに対し,酸化条件では0.016 mg L-1の銀の溶出が確認された.ナノ銀を添加した場合においては,Ehと銀の溶出量に高い正の相関が得られた.硝酸銀を添加した還元条件の土壌は,Ehが400mV付近になると銀の溶出量が大きく減少していることが判明した.これらのことから,土壌のEhの低下に伴って銀の溶出量は低下することが明らかになった.吸着実験後のデータをLangmuirモデルによって回帰し,銀の吸着量を平衡状態にある溶液中の銀濃度の関数で示した(データ省略). Langmuirの吸着等温線から,最大吸着量および吸着強度を求めた.土壌に対する銀の最大吸着量は,灰色低地土よりも黒ボク土の方が800 mg kg-1以上大きいことが判明した.
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Research Products
(2 results)