2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24658064
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 信一郎 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60108678)
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Keywords | 火山灰土 / アロフェン / リン酸吸着 |
Research Abstract |
火山灰由来の土壌は,その主要構成成分であるアロフェンをはじめとする低結晶性のアルミニウムケイ酸塩鉱物によるリン酸の固定が大きな問題となっている.このため火山灰土では施肥されたリン酸の肥効が10%以下であることもまれではない.この結果,土壌に難利用性の形態で多量のリンが蓄積している.この研究の目的は,土壌に,土壌溶液のpHとカルシウムイオン濃度を高く保ちうるような資材を大量に投入することにより,1)リン酸イオンの吸着能を低減する,2)蓄積したリン酸アルミニウムやリン酸鉄をリン酸カルシウムに転換すること,3)アロフェンなどの土壌鉱物をよりリン酸吸着能の低い鉱物に転換すること,などが可能かどうかを探ることである. 投入する資材としては,効果を持続させるために一度に大量に投入できる資材(価格および土壌との反応の両面で)である必要があるので,製鋼スラグを選択した.土壌試料としては,熊本県および大分県の火山灰由来のアロフェン質黒ボク土を供試験した.大分県の試料については,初年度にライシメーターに充填し,1 haあたり20~120トン相当の製鋼スラグを投入して1年間平衡させた.この試料について鉱物分析および平衡水抽出を行った結果以下のような結果を得た.1)スラグ施用に伴いピロリン酸可溶のアルミニウム量が減少した.2)スラグ施用により平衡水抽出液のpH,リン酸イオン濃度,カルシウムイオン濃度が上昇した.3)その結果平衡水抽出液はヒドロキシアパタイトに関して未飽和から過飽和になった.4)低濃度領域でのリン酸吸着能が有意に低下した. 以上の結果から製鋼スラグの多施用により,黒ボク土の性格を転換することが可能であることが示唆された.
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