2013 Fiscal Year Research-status Report
Lysinibacillusコレクションの整備と新規生物農薬の開発
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24658073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小柳津 広志 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (70177301)
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Keywords | Lysinibacillus / 菌株コレクション |
Research Abstract |
本研究は、国内のさまざまな地域の水田などから昆虫死体を多数収集して、これらの腸管から耐熱性を示すLysinibacillus様菌株を分離する。分離された菌株を飼育されたショウジョウバエに噴霧することにより、半翅目に対する殺虫効果を確認する。半翅目に対して強い殺虫効果を示す菌株の結晶性タンパク質の遺伝子配列をすでに知られている鱗翅目に有効なCryタンパク質などに基づいて設計されたプライマーを使用して解読し、アミノ酸配列のデータベースを確立する。これらの菌株で鞘翅目など鱗翅目以外の昆虫に広い殺虫スペクトルを示す菌株を選別し、生物農薬として使用する系統を確立することを目指している。さらに、将来的にはこの菌株を資材化と毒素タンパク質の一部をイネにペプチドが発現されるような形で導入して、耐虫性系統の作出を目指している。昨年度は昆虫を双翅目、半翅目を中心に約500個体を採取し、80℃10分の耐熱性を示す菌株の分離を行い、約200株を取得し、16SrRNA部分配列によってLysinibacillus属と判定されたもの約50株を選別した。今年度は引き続き双翅目、半翅目、鱗翅目昆虫を約10000個収集し、80℃10分の耐熱性を示すBacillus属類縁細菌株約2000株を取得し、培養性状と顕微鏡観察によって、これらのうち約1000株がLysinibacillus属近縁細菌を選別した。選別した細菌の16SrRNA部分配列の解読によって、最終的に約300株がLysinibacillus属であることが確認され、16SrRNA配列において、昨年度までに確認されたこの属の多様性がさらに大きいことが確認された。取得された菌株はグリセロールを50%になるように加えて-80℃で保存した。現在、プライマーを用いた結晶性タンパク質の多様性確認作業を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は学内の役職のため実験時間が十分に取れなかったが、25年度は順調に進み、昨年度の遅れを解消した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も昆虫の収集を続け、さらに10000個体程度の収集を行う予定である。また、すでに分離されたLysinibacillus属細菌については、結晶性タンパク質の確認とこれらのアミノ酸配列の解読を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昆虫の収集を関東近県で行ったため、旅費として支出されなかった。また、試薬類は研究室にストックされているものを使用したため、大幅に支出が削減された。 結晶性タンパク質のアミノ酸配列解読のために高額な試薬類の購入を予定している。また、昆虫収集範囲も広げる予定である。
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