2014 Fiscal Year Research-status Report
Lysinibacillusコレクションの整備と新規生物農薬の開発
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24658073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小柳津 広志 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (70177301)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Lysinibacillus / 菌株コレクション / 殺虫性タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国内のさまざまな地域の水田などから昆虫死体を多数収集して、これらの腸管から耐熱性を示すLysinibacillus様菌株を分離する。分離された菌株を飼育されたショウジョウバエに噴霧することにより、半翅目に対する殺虫効果を確認する。半翅目に対して強い殺虫効果を示す菌株の結晶性タンパク質の遺伝子配列をすでに知られている鱗翅目に有効なCryタンパク質などに基づいて設計されたプライマーを使用して解読し、アミノ酸配列データベースを確立する。これらの菌株で鞘翅目など鱗翅目以外の昆虫に広い殺虫スペクトルを示す菌株を選別し、生物農薬として使用する系統を確立することを目的としている。さらに、将来的には毒素タンパク質の一部をイネにペプチドが発現されるような形で導入して、耐虫性系統の作出を目指している。平成24年度および25年度の研究では、双翅目、半翅目、鱗翅目昆虫を約10000個体収集し、80℃10分の耐熱性を示すBacillus属類縁細菌株約2000株を取得し、培養性状と顕微鏡観察によって、これらのうち約1000株がLysinibacillus属近縁細菌として選別した。今年度はこれらの菌株で16SrRNA配列を確認したところ、最終的に約200株がLysinibacillus属に属することが判明した。また、この解析によってこの属の多様性が非常に大きいことが確認されたため、平成26年度も昆虫から菌株の取得を行い、最終的には約400株のLysinibacillus属菌株を取得した。引き続きCryタンパク質のアミノ酸配列の分析を行っているが、使用したプライマーが機能しない菌株が多かったため、プライマーの再設計と分析を繰り返している。このため、27年度に繰り越して研究を実施する状況となっている。分離された菌株はグリセロールを50%になるように加えて-80℃で保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
殺虫性タンパク質のアミノ酸配列解読が、アミノ酸配列の多様性のため解読用プライマーの適用範囲が狭く、解読できない株が多数存在している。
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Strategy for Future Research Activity |
殺虫性タンパク質のアミノ酸配列解読が既存のプライマーによって解読できない菌株について、殺虫性タンパク質遺伝子のクローニングを行い、新しいプライマーの設計を行う。これによって殺虫性タンパク質の多様性の全容を解明する。
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Causes of Carryover |
平成25年度までにLysinibacillus属菌株を分離する予定であったが、その多様性が大きいことが判明したため、平成26年度も引き続き菌株の分離を行った。菌株の分離には多額な金額を要しないため研究費の残が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は16SrRNA塩基配列の解読と殺虫性タンパク質遺伝子配列の解読を行うため、残額を使用する予定となっている。
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