2013 Fiscal Year Annual Research Report
スプリット型tRNAからみたtRNAの構造安定化戦略と進化の研究
Project/Area Number |
24658074
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
田中 照通 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30273337)
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Keywords | tRNA / split gene / evolution |
Research Abstract |
本申請研究では生命の起源を分子レベルにおいて解析することを目的とした一連の研究の一部を構成する。細胞性生物の初期段階において生命はtRNAを遺伝暗号の担い手かつアミノ酸の運び手として選んだが、種を超えてまた対応するアミノ酸を超えて共通のクローバーリーフ構造(立体構造ではL字構造)を有するtRNAがどのように選ばれてきたのかの謎は解かれていない。本申請研究ではtRNAの由来は2つの大きなヘアピン型のRNAに由来するとするモデル(発表済み)に基づく実証研究である。このtRNAの由来におけるダブルヘアピンモデルは、実際のtRNA分子をコードする遺伝子において現在でも残っていることが別の研究者らによって示されてきたが、本申請研究では、その過程を更に網羅的に検証することを目的とした。実際に、みつかった例では、tRNA分子をコードする遺伝子が1つながりのものではなく、前半と後半部分とを大きく2つに分割した形で存在する例や、更に多数の断片へと分割されてコードされ、これらは別々に転写された後に1つながりに生成されるという過程をたどる。本申請研究ではゲノムデータベースの情報を広く活用し、ゲノム配列内に存在するスプリット型tRNA遺伝子をさらに網羅的に検索し、それを実験的に追跡するという方法論を選択した。インフォルマティックスによるゲノム配列上での検索では多くのスプリット型tRNA遺伝子の可能性を有するものを見つけることができた。その後に実験的に検証したものでは、過去に報告された遺伝子がスプリット型であることの検証に成功したが、新規のものとしては断定的な証拠にはつながらず現段階では報告するに至っていない。この報告書を記述している時点で実験的な検証をおこなった遺伝子候補はごく一部にすぎないため、残りの部分の検証に期待されるところである。
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