2012 Fiscal Year Research-status Report
長鎖アルカンの合成と分解に関わる酵素群の探索と脂質変換反応への応用
Project/Area Number |
24658078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻谷 英治 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10362427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 晃規 京都大学, 学際融合教育研究推進センター生理化学研究ユニット, 助教 (10537765)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Prototheca / alkane degradation / subterminal oxidation / secondary alcohol |
Research Abstract |
アルカン資化を指標としてスクリーニングを行い、一部のPrototheca属微細藻が直鎖アルカンをサブターミナル酸化経路を持つことを発見した。そこで、Prototheca zopfii JCM9400を用いて、サブターミナル酸化反応に関わると考えられる第二級アルコールをケトンへ酸化するsecondary alcohol dehydrogenase (SADH)の精製及び遺伝子クローニングを試みた。P. zopfiiの無細胞抽出液を可溶性及び不溶性画分に分画し、2-dodecanolを基質、NAD(P)+を補酵素としてSADH活性を測定した結果、両画分に活性がみられた。可溶性画分より硫安分画、各種カラムクロマトグラフィーを用いてSADHを精製した。SDS-PAGEにより推定される本酵素の分子量は約35kDaであった。さらに精製酵素を用いて様々なアルコールに対する活性を調べたところ、第二級アルコールに対する活性はあるが第一級アルコールに対する活性が確認できなかったことから、この酵素がサブターミナル酸化経路に関与している可能性が示唆された。精製タンパク質から部分アミノ酸配列を決定し、この配列を基に3,117 bpから成る塩基配列を得た。この塩基配列から推定されたアミノ酸配列をタンパク質データベースで相同性検索した結果、acetoin reductaseと高い相同性を示す822bpの断片を得た。cDNAより対応する遺伝子を取得した結果、推定アミノ酸配列が精製した酵素のアミノ酸配列と一致したので、目的の酵素をコードする遺伝子が得られたと考えられる。このcDNA由来の塩基配列からの推定アミノ酸配列を相同性検索した結果、acetion reductaseやshort chain dehydrogenaseとの相同性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルカンのサブターミナル酸化に関わる酵素及びその遺伝子をひとつ見いだした。アルカンがPrototheca zopfiiで代謝されていくには多くの酵素反応が関わっていると考えられるが、その糸口を切り開いたことは意義があると考えられる。また、形質転換系の構築においても、P. zopfiiに対してゼオシンなどいくつかの抗生物質が有効であることを見いだしており、遺伝子導入法やP. zopfii内で働くプロモーターの探索などが直近の課題といえる。さらに、25年度以降計画していたゲノム解析を24年度に前倒しして行った。ゲノム情報の整理といったさらなる解析は必要であるもののこれらのツールを駆使してアルカンのサブターミナル酸化に関わる候補となる遺伝子を抽出することが期待される。以上のことから達成度は順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはドラフトゲノム情報を整理し、候補となるアルカン酸化酵素、アルコール酸化酵素、バイヤビリガー反応に関わる酵素などの候補遺伝子を特定し、それら遺伝子がコードする酵素の機能を解明する。また、一般的に高発現が期待されるプロモーターを選定し、Prototheca zopfiiの形質転換系構築に応用する。以上の研究により、アルカンのサブターミナル酸化経路の解明だけでなく、アルカン酸化経路の制御による物質生産を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は主に消耗品費にあてる計画である。遺伝子の機能解析や宿主ベクター系の構築に関する研究には、遺伝子操作に関わるキット、酵素、薬剤、プライマーなど高額な消耗品類が必要となることが予想される。
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Research Products
(1 results)