2014 Fiscal Year Annual Research Report
クロロフィルdを利用して遠赤色光で光合成を行うシアノバクテリアの分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
24658080
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土屋 徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (20362569)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 応用微生物 / シアノバクテリア / クロロフィルd / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度開発したAcaryochloris marinaでのトランスポゾンタギング系を利用して、定期的に変異体を作出するための条件検討を行った。はじめに、トランスポゾンの転移頻度の増加を試みた。使用する細胞濃度や接合時間など諸条件を検討したが、転移頻度に有意な増加は見られなかった。次に、作出した変異体をスクリーニングする系を検討した。その結果、少量の細胞から抽出した色素混合液の組成をHPLCでスループットを上げて解析することが可能になった。しかし、変異体の作出が律速となり、十分な数の変異体をスクリーニングに供するまでに至らなかった。 A. marinaでの遺伝子ターゲッティング系の開発については、自殺ベクターをもちいた接合法に加えて、電気穿孔法についても検討した。これまでと同様に、接合法で抗生物質に抵抗性を示すコロニーは得られなかった。電気穿孔法では細胞懸濁液の調製から電気パルスをかける条件まで詳細に検討したが、接合法の場合と同様に抗生物質に抵抗性を示すコロニーは得られなかった。これらの結果から、A. marinaでは常法による遺伝子ターゲッティング系の開発は困難であると結論づけた。 本研究課題では、A. marinaの変異体を大量に作出しスクリーニングする段階まで到達することはできなかった。これは、トランスポゾンタギングにおけるトランスポゾンの転移頻度を増加できなかったことが原因である。しかし、A. marinaでのトランスポゾンタギング系の確立は、遠赤色光をもちいて光合成を行うことができる生物に対して分子遺伝学的解析が可能となったことを意味することから、今後の進展について大きな期待を抱かせる成果であると考えられた。
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Research Products
(3 results)