2012 Fiscal Year Research-status Report
新奇糖脂質の生合成経路の発見を基盤とした抗真菌性抗生物質の探索
Project/Area Number |
24658084
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
山本 憲二 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70109049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 高嶺 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (70346104)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 酵素 / 抗生物質 / 菌類 / 糖脂質 / ガラクトース転移酵素 / 接合菌類 / セラミド |
Research Abstract |
抗真菌性の抗生物質であるオーレオバシジンAは動物細胞には見られないフィトスフィンゴシン塩基を構成成分とする細胞膜の構成糖脂質の生合成酵素を阻害することによって真菌の生育を阻止することが知られている。しかし、我々はケカビやクモノスカビなどの接合菌類が本抗生物質による生育阻止が見られず、新規な糖脂質生合成経路を有することを見出した。そこで、病原性真菌などが含まれる接合菌類の新規な糖脂質生合成経路を阻害する抗生物質を見出すことを本研究の目的とした。すなわち、脂質のフィトセラミドに糖鎖が伸長する過程の初発酵素であるガラクトース転移酵素の阻害物質を見出して接合菌類に対する抗生物質として応用することを企てた。先ず、マウス由来の既知のガラクトース転移酵素の遺伝子配列を基にしたバイオインフォマティクス解析により、接合菌類において全ゲノム解析が行われているRhizopus oryzaeのゲノム配列上に高い相同性をもつ候補遺伝子を探索した結果、相同性の高い4種類の酵素を見出した。そこで、R. oryzae から抽出したゲノムをテンプレートにして PCR を行い、増幅した3種類の遺伝子を得た。これらの遺伝子について、動物細胞や酵母などを宿主とした形質転換を試みたが、目的のガラクトース転移酵素の発現は見られなかった。現在、ケカビのMucor hiemalisの菌糸よりガラクトース転移酵素タンパク質の精製を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
接合菌類のガラクトース転移酵素の取得について、マウス由来のガラクトース転移酵素の遺伝子配列を基にしたバイオインフォマティクス解析とPCRによる遺伝子増幅によって、R. oryzae 由来の3種類の候補遺伝子を得ることができたが、動物細胞(CHO細胞)や酵母(Saccharomyces. cerevisiae, S. pombe, Pichia pastoris)、Aspergillus oryzae、Mortierella alpineなどを宿主とした組換え酵素の発現については、目的の酵素を得ることができなかった。それ故に阻害物質を検索することができず、研究の進行が遅れている。大腸菌を用いた組換え酵素の発現には未だ至っていないので、それが実現できれば研究の大きな発展が期待できる。一方、遺伝子の取得ができなかった場合に予定していた酵素タンパク質の精製の実験を始めており、酵素の反応条件を検討しているので、これに関する研究については今後の進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に得られた結果を基にして、大腸菌の発現系によるガラクトース転移酵素の組換え酵素の発現を試みる。また、ガラクトース転移酵素の最適な活性条件を検討するために至適温度、反応時間、酵素濃度、金属イオンの影響などについて、フィトセラミドとUDP-ガラクトースを基質として調べる。最適な酵素活性のアッセイ法による酵素阻害物質の検索方法を確立した後、従来の計画通り、阻害剤を探索して、その構造解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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