2013 Fiscal Year Annual Research Report
新奇糖脂質の生合成経路の発見を基盤とした抗真菌性抗生物質の探索
Project/Area Number |
24658084
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
山本 憲二 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70109049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 高嶺 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70346104)
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / 抗生物質 / 接合菌類 / ガラクトース転移酵素 / 糖鎖 / オーレオバシジンA / セラミドガラクトシル転移酵素 |
Research Abstract |
我々は抗真菌性の抗生物質オーレオバシジンAがケカビやクモノスカビなどの接合菌類に対して全く効果を示さないことを見出し、それらの細胞膜を構成するスフィンゴ糖脂質が他の真菌類とは全く異なることを見出すとともにスフィンゴ糖脂質の新しい生合成経路を発見した。接合菌類には病原性の真菌も含まれるので新しい糖脂質合成経路を阻害する物質が新規な抗生物質となり得る可能性がある。そこで、接合菌類の細胞膜を構成するスフィンゴ糖脂質の糖鎖を合成する酵素であるガラクトース転移酵素の活性を阻害する物質を探索した。昨年度よりRhizopus oryzaeのガラクトース転移酵素の遺伝子を動物細胞や酵母などを宿主とした形質転換を試みて来たが成功には至っていない。そこで、ガラクトース転移酵素の粗酵素標品について、ラベルしたUDP-ガラクトースを基質として用いて酵素反応を行い、さまざまな物質について阻害活性を調べた。ガラクトース、マンノース、フラクトース、ラクトース、メチルグルコシド、メチルマンノシド、α-サイクロデキストリンなどの糖およびその誘導体について阻害活性を調べたところ、α-メチルグルコシドについてのみ、僅かな阻害活性が見られた。これはUDP-ガラクトースのUDPとガラクトースがα-結合しており、メチル基とグルコースがα-結合しているメチル-α-グルコシドが競合阻害したと推察される。一方、スフィンゴ糖脂質の糖鎖生合成の初発酵素であるセラミドガラクトシル転移酵素は脂質セラミドにガラクトースを転移する酵素であり、Aspergillus oryzaeにその存在が示唆されている。そこで、接合菌類のガラクトース転移酵素と比較するために、本酵素の遺伝子クローニングと酵母Pichia pastorisへの異種発現を試みた。その結果、単離した候補遺伝子はSterol glucosyltransferaseであることが明らかになった。
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