2013 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌の環境認識シグナルと接着に関する、表面工学手法を利用した解析
Project/Area Number |
24658087
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
西村 麻里江 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物・微生物間相互作用研究ユニット, 主任研究員 (30370670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 美紀 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 研究員 (20415722)
三宅 晃司 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, グループ長 (30302392)
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Keywords | 接着 / 糸状菌 / ヘテロ3量体Gタンパク質 |
Research Abstract |
糸状菌(カビ類)は住環境の至る所に見られる微生物であり、産業的に有用である一方で、住環境汚染や動植物への感染といった社会的に深刻な問題を引き起こしている。糸状菌は基板に接着した後に増殖しバイオフィルム化ため薬剤などによる除去が非常に困難であり、糸状菌の除去技術開発への社会的ニーズは高い。そこで本研究では糸状菌のバイオフィルム化の引き金となる基板への接着についてMagnaporthe oryzae(イネいもち病菌)をモデルに用いて解析を行った。昨年度までの研究から見出されたM. oryzaeの接着を阻害する分子を用いて表面工学的手法で分子修飾基板を作製した。この接着阻害基板を用いて接着時-接着阻害時の遺伝子発現を比較解析した。その結果、糸状菌に固有の細胞壁表層タンパク質群が接着時に特に高く発現していることを見出した。そこでこのタンパク質群のそれぞれが欠損した菌株を作出したところ、特に2つのタンパク質が初期接着に関与していることを示唆する結果を得た。M. oryzaeは基板のヘテロ3量体Gタンパク質(Gα、Gβ、Gγサブユニット)が基板の表面特性を認識して感染器官形成を誘導すると考えられている。感染器官形成が形成されるためには基板への接着が必要である。そこでM. oryzaeにおいてヘテロ3量体Gタンパク質が表面特性を認識して接着を制御している可能性について解析を行った。M. oryzaeのゲノムにはGβ、Gγおよび3つのGαがアノテーションされている。そこでこれらの遺伝子にそれぞれ変異を導入し非接着基板上で培養したところ、接着が観察されるGα/βγの組み合わせが確認された。これらの結果はM. oryzaeではこのGα/βγが接着を負に制御していることを示唆する。
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