2012 Fiscal Year Annual Research Report
アファノマイセス遊走子の宿主認識に働くフラボン受容体タンパクの分子進化
Project/Area Number |
24658103
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋床 泰之 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40281795)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | フラボン受容体 / Aphanomyces cochlioides / VDAC / バレル構造 |
Research Abstract |
5-hydroxy-6,7-methylenedioxyflavone (cochliophilin A) を宿主認識物質として利用し,このB環無置換フラボン誘導体に強い誘引性を示す卵菌Aphanomyces cohlioides AC-5株のフラボノイド受容体を検索し,アフィニティカラムによる可溶化膜タンパク画分からの受容体候補タンパクの精製に成功した。このタンパクのN末端からの配列から得た縮重プライマーでA. cochlioidesの当該EST配列の特定に成功し,これが32 kDaのβ-バレル構造をもった末貫通型タンパク質(ACCR1) であることを明らかにした。その受容体タンパク遺伝子のmRNAを菌体から取得し,調製したcDNAライブラリーから3'-末端を含むACCR1遺伝子全長を取得することに成功した。mRNAの塩基配列から,このACCR1タンパク質のアミノ酸配列はvoltage-dependent anion channel protein (VDAC)に高い相同性を示すが,そのC-末端側の70AAほどを欠いていることが確認された。ACCR1は,本来ならばミトコンドリアに偏在するVDACから分子進化によって生じたと推察された。そこでこのACCR1に特異的な抗体を作成し,遊走子を抗体染色に供したところ,cACCR1は遊走子の細胞膜表面だけに特異的に分布していた。遊走子に対し,ミトコンドリア特異的蛍光色素であるMitoRedとACCR1抗体-抗体との二重蛍光染色を試みた結果,このタンパク質は遊走子の細胞膜上のみに存在し,ミトコンドリアには全く局在しないことが実験的に示された。これらを総合して,ACCR1の分子進化仮説を提唱した。ACCR1のN末端側20AAはα-ヘリックス構造をもつがタンパク質の膜内での折りたたみに関与せず,フラボンとの緩やかな結合能が認められた。
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