2012 Fiscal Year Research-status Report
LC―MS/MSにおけるイオン系列選択的観測法の開発
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24658104
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
橋本 勝 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (40212138)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ESIMS / ペプチド配列 / CID-MS/MS / アイソトポマー / イオン区別 |
Research Abstract |
近年質量分析装置の発展は著しく、その応用の一つHPLCを組み合わせたMS/MS解析によるペプチドの配列解析は従来法に比べ、より微量サンプルによる解析を可能とした。しかし、実際にはニュートラルロスをはじめ、解析に複雑なフラッグメントシグナルの存在から、各イオンの帰属を検証する方法が無く、市販の解析ソフトウェアでは遺伝子情報などを組み合わせたインフォマティック技術の支援を利用してその精度を高めている。本研究では、ペプチドMS/MSスペクトルにおいて、これまで困難であったN末端、C末端側イオンを区別したイオン検出を容易にし、観測イオンの検証を伴ったより確実なペプチド配列帰属法の開発を展開した。 ペプチドをメタノール中酸を作用させるとC末端がメチル化されるが、このとき重メタノールを用いると分子量が3大きい、アイソトポマーが生成する。これらのCID-MS/MSスペクトルを比較するとC末端側フラッグメントイオンでは質量差3が維持されるが、N末端側では同一のイオンを与える。これら二つのスペクトルについて差スペクトル、質量を3ずらした後の差スペクトルなどにより、C末端側フラッグメントイオン、N末端側イオンを区別して消去できると期待した。実際に、合成、あるいは購入した複数のペプチドについて検討したところ、予想通り目的のイオンのみの消去が可能であることが判明した。ペプチド鎖が長くなるとESI法では二価イオンの強度が増大するが、エネルギーが高いためか、小さなCIDで効率的にフラッグメント化し、より単純化されることもも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
重メチル化法で、予想したイオンの区別はC側フラッグメントイオンではある程度うまくいくことが判明した。しかしN側フラッグメントイオンでは、内部開裂イオンとの区別ができないことが判明、その問題解決が必要である。 また、現在は差スペクトルの作成をマニュアルで行っているが、今後、プログラムを作成し、自動化を検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチド内部にカルボン酸を有する場合、その解析が単純ではないと予想される。今後このような場合のフラッグメントイオンパターンを解析し、一般化する。 また、N末端側イオンの解析では、内部イオンとの区別が難しく解析が複雑になる傾向があったが、N末端に質量差を導入して、フラッグメントイオン解析を単純化する方法を開発したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(14 results)