2013 Fiscal Year Annual Research Report
最強レベルの抗癌活性を持つ超微量天然物の立体化学決定に向けた合成化学的アプローチ
Project/Area Number |
24658105
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桑原 重文 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30170145)
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Keywords | nigricanoside / amphidinolide / cytotoxic / glycolipid / macrolide |
Research Abstract |
稀少海洋性緑藻によって生産され,癌細胞に対する強力な細胞毒性を有する異常連結型構造の糖脂質であるnigricanoside Aについて,合成化学的アプローチによってその立体化学を決定するため研究を実施した。昨年度までに,nigricanoside Aの予想立体異性体を構成する3つの部分構造 [2つのトリヒドロキシ不飽和脂肪酸鎖(α-鎖とβ-鎖)およびガラクトシルグリセロール部位] すべての立体選択的合成を完了したが,α-鎖の10 位水酸基とβ-鎖の11'位水酸基部位との連結によるα/β-複合鎖の調製が不首尾に終わったため,合成戦略の修正を行った。新戦略では,nigricanoside A分子を大きく北西部位と南東部位の2つに分割してそれぞれを調製した後,分子の中央(β-鎖の中央部)で連結することとした。ガラクトシルグリセロールとβ-鎖右半分とで構成される南東部位については,ガラクトシルグリセロール誘導体をEvans型オキサゾリジノンに導き,β-鎖の右半分部位に相当するヨウ化アリル誘導体で不斉アルキル化することにより調製を完了した。α-鎖とβ-鎖左半分とで構成される北西部位については,それぞれの鎖の左半分部位同士を分子内エポキシド開環型エーテル化によって連結することにより,nigricanoside A全合成の最大の難関であるα-鎖とβ-鎖を繋ぐエーテル結合部位をまず構築し,α-鎖の右半分を継ぎ足すルートを策定した。これまでのところ問題なく進んでおり,早期の全合成達成が期待できる。 渦鞭毛藻が生産する26員環マクロライドであり,驚異的細胞毒性を有するamphidinolide Nについては,研究開始当初は立体化学が不明であったが,昨年,構造の訂正とともに全立体化学の提唱がなされたため,合成計画の変更を余儀なくされる事態となった。現在,小林型ビニロガス不斉アルドール反応,Evans型不斉アルドール反応を基軸とした分子下半分の合成を進めており,これまでの所,順調に推移している。
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Research Products
(6 results)