2013 Fiscal Year Research-status Report
高等植物におけるファイトアレキシン産生のもう一つの意義
Project/Area Number |
24658106
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 小須弥 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (70292521)
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Keywords | 青色光 / ファイトアレキシン / 光屈性 / クロストーク |
Research Abstract |
植物が光の方向に屈曲・運動する「光屈性」は植物の環境応答反応の代表的な生物機能である。この現象のメカニズムとして植物が光屈性刺激(横からの青色光照射)を感受すると植物ホルモン・オーキシンが光側組織から影側組織へ横移動することで偏差成長が生じ、影側組織の生長が促進された結果、屈曲が起きるという説(Cholodny-Went説、1937年)が古くから提唱されてきた。しかし近年の研究から光屈性の誘導にはオーキシンだけでなく光側組織で新たに生成した成長抑制物質も関与していることが明らかになった(Bruinsma-Hasegawa説、1991年)。さらに様々な実験植物から成長抑制物質が単離・同定された。興味深いことにそれらの成長抑制物質候補の多くは各植物固有のファイトアレキシンとして機能する物質であることが明らかになった。この成長抑制物質の生理作用としてオーキシン作用の抑制、ならびにcell wall stiffnessと呼ばれる細胞壁の一時的な硬直化が知られている。したがって、光屈性反応と植物防御応答反応には何らかのクロストークが存在している可能性が示唆された。 今年度はシロイヌナズナ芽生えを用いて青色光照射による内生物質の変化をメタボローム解析により明らかにした。また、昨年度実施できなかった青色光照射ならびにエリシター処理によるシロイヌナズナ芽生えを用いたマイクロアレイ解析に資する予備検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタボローム解析においては長時間の青色光照射により、芽生えの生重量の減少が顕著であることが判明し、対照区との生重量の差異をなくす照射方法について検討し、最終的には概ね良好な条件でサンプリングを行うことができた。解析については外部委託を行っており、近日中に解析結果が届く予定である。また、マイクロアレイ解析に関しては青色光照射のエネルギー条件の検討は完了したが、エリシター処理に用いる物質の入手が困難であることが判明し、急遽専門家から譲渡していただいた。しかし、量に限りがあったためマイクロアレイ解析を実施する前にエリシター処理濃度について詳細な検討を行わねばならず、現在マーカー遺伝子を用いた予備実験が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
先に述べたとおり、現在至適なエリシター処理濃度について引き続き検討を行っており、濃度ならびに処理方法に関する条件が設定できた時点でマイクロアレイ解析を実施する予定である。解析については外部に委託する予定である。また、メタボローム解析結果が届き次第、青色光処理により顕著な内生量変化を示した物質について、光屈性反応と防御応答反応とに共通性に関する検討を加える予定である。さらに、シロイヌナズナ以外の実験植物については既知の光屈性応答遺伝子ならびにファイトアレキシン生合成遺伝子に着目して、発現解析を行うことにより前述の2つの現象のクロストークについて調べる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Artabolide, a novel polar auxin transport inhibitor isolated from Artemisia absinthium2013
Author(s)
T. Arai, Y. Toda, K. Kato, K. Miyamoto, T. Hasegawa, K. Yamada, J. Ueda, K. Hasegawa, T. Inoue, H. Shigemori
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Journal Title
Tetrahedron
Volume: 69
Pages: 7001-7005
Peer Reviewed
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