2014 Fiscal Year Research-status Report
高等植物におけるファイトアレキシン産生のもう一つの意義
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24658106
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 小須弥 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (70292521)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | blue light / gravity / phytoallexin / lignin accumulation |
Outline of Annual Research Achievements |
植物が茎を光の方向に屈曲させる光屈性、および反重力方向に屈曲させる重力屈性の誘導メカニズムは、オーキシンの光側組織から影側組織あるいは上側組織から下側組織への移動によって引き起こされる偏差成長に起因すると古くから説明されてきた。一方、光屈性においては青色光照射によって光側組織で生成する成長抑制物質が誘導する直接的な、あるいはオーキシン活性抑制をともなう成長抑制作用が引き金となる説も提唱されて今日に至っている。我々は後者の説に基づいて、単子葉・双子葉植物を材料として数多くの光誘導性成長抑制物質の単離・同定を行ってきた。興味深いことに、単離された物質の多くはそれぞれの植物の主要なファイトアレキシンとして報告されているものであった。トウモロコシ芽生えの光屈性に関与する光誘導性成長抑制物質として単離されたベンゾキサジノイド(DIMBOAおよびMBOA)はオーキシン活性の抑制だけでなく、活性酸素(H2O2)の生成、それに伴うリグニンの蓄積によるcell-wall stiffnessの誘導にも関与していることが明らかにされている。さらに近年、重力屈性刺激を与えたトウモロコシ芽生え中でベンゾキサジノイドの内生量が増加することも報告されている。そこで本研究ではトウモロコシ芽生えの光屈性ならびに重力屈性におけるベンゾキサジノイドの役割を明らかにすることを目的とした。黄化芽生えに一方向から青色光を照射(光屈性刺激)、あるいは芽生えを水平方向に傾け(重力屈性刺激)、ベンゾキサジノイドの内生量変化をHPLC-PDAにより調べた。また、tissue-printing法によりH2O2の蓄積の様子を経時的に比較、検討した。さらに、リグニン生合成関連遺伝子の発現量変化を調べ、光・重力屈性刺激に伴うリグニン蓄積の関与を支持する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた計画のうち、リグニンの蓄積に関わる遺伝子発現に関する実験については終了し、非常に興味深い結果を得ることができたが、ファイトアレキシンを誘導するエリシターの実験が期間延長承認申請書に記載した事情により年度内に終了できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、新たに依頼合成中の試薬の納品待ちの状況で、届き次第当初予定していたエリシター関連の実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験計画のうち、ファイトアレキシンを誘導するエリシター実験に必要なエリシター量が十分に確保できないことが年度途中で判明し(その経緯につきましては期間延長承認申請書に記載)、その合成を新たにメーカー側に依頼することとなったために年度内に終了できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、新たに依頼合成中の試薬の納品待ちの状況で、届き次第当初予定していたエリシター関連の実験を実施する予定である。
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Research Products
(5 results)