2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24658109
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 竜彦 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (30362289)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 植物寄生性線虫 / attractant |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究により、独自に確立したネコブセンチュウの試料への誘引を観察する生物検定系を用いて、アルファルファ水耕液から単離した細菌が生産する菌体外多糖(EPS)がネコブセンチュウを誘引する活性物質であることを明らかにした。本年度はこのEPSの構造解析に取り組んだ。多糖としての性質から、NMRスペクトルのシグナルがブロードとなり直接の解析が困難であったため、低濃度のトリフルオロ酢酸を用いて部分加水分解(低分子化)を行った。部分加水分解したEPSの各種二次元NMRスペクトルを解析した結果、4残基のN-アセチルグルコサミンと1残基の未同定糖残基の合計5糖からなる繰り返し単位を持つ多糖の構造を明らかにした。現在、EPSの加水分解物から未同定糖残基由来の糖を単離し、その構造を解析している。 このEPSが線虫誘引物質として機能するためには、この細菌が宿主根の周囲に局在していることが必要である。この点に関して検討を進めた結果、アルファルファの根浸出液中には、この細菌の増殖を刺激する活性物質(Root-Exudate-derived Microbe growth Stimulating factor, REMS factorと命名)が含まれていることを突き止めた。この細菌に対する増殖刺激活性を指標として精製を行った結果、複数の既知化合物を同定した。以上の結果から、ネコブセンチュウは、宿主根由来から分泌される物質(REMS)によって増殖した細菌のEPSを感知して宿主根に接近、感染するという、今までに報告のない三生物間相互作用に基づくモデルの存在が明らかになった。 現在、EPSの未同定糖残基の構造解析と、上記の線虫誘引モデルが土壌中で再現できるかどうかという点についての検討と並行して、投稿準備を進めている。
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