2013 Fiscal Year Annual Research Report
トランス脂肪酸はプラスマローゲンに組み込まれて動脈硬化を惹起するのか?
Project/Area Number |
24658112
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原 博 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70198894)
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Keywords | プラスマローゲン / トランス脂肪酸 / 動脈硬化症 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
プラスマローゲンは、心臓や脳のリン脂質の20%程度を占めるリン脂質のサブクラスであり、また、その分子内sn-1位のビニルエーテル結合は高いラジカル感受性を有する。プラスマローゲンはリポタンパク質にも含まれ、そのコレステロールの酸化を抑制し、また血管内皮を適正に保つことにより、動脈硬化巣の発生を防御する因子として機能すると考えられている。一方、動脈硬化惹起性が知られているトランス脂肪酸の作用メカニズムには不明な点が多い。私どもはLC-MS/MSを用いたプラスマローゲン分子種一斉分析法を確立し、トランス脂肪酸の一種、エライジン酸(t18:1) を含む試験食をラットに4週間以上摂取させた。その結果、t18:1はプラスマローゲンのsn-1位に特異的に組込まれ、18:1のうち60-80%をトランス型が占めた。このラット血清より、低密度リポタンパク質 (LDL) 分画を調製した。対照群として、AIN93G標準食、および40%キャノーラ油を含む高脂肪食摂取ラットを取った。これらラットのLDL分画を、ヒト臍帯静脈より採取した血管内皮細胞(HUVEC)の培地に、10-20%添加24-48時間培養し、mRNAを抽出後、リアルタイムPCR法を用いて細胞接着因子であるICAM1, VCAM1の他MCP1, エンドセリン1の遺伝子発現を調べた。またWestern blot 法でICAM1, VCAM1タンパク質レベルを、ELISAを用いて培地に分泌されたMCP1とエンドセリン1を測定した。トランス脂肪酸食のLDL添加群でVCAM1およびMCP1の遺伝子発現が大きく増加、VCAM1タンパク質レベルおよび培地に分泌されたMCP1でも同様の変動を示した。トランス脂肪酸の組み込まれたプラスマローゲンを含むLDL分画は、血管内皮細胞において単球の接着能を亢進させることが示された。
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