2013 Fiscal Year Research-status Report
消化管内分泌系を介する慢性炎症発症回避の機構解明:免疫系細胞と脂肪細胞の連関
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24658114
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石塚 敏 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00271627)
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Keywords | メタボリック症候群 |
Research Abstract |
メタボリックシンドローム発症には脂肪組織での慢性炎症の関与が知られている。過剰な遊離脂肪酸は炎症を惹起させることから、毎食後の脂質吸収の増加に伴い、脂肪組織は常に炎症が引き起こされるリスクにさらされている。本年度は脂質投与後のリンパ液中の消化管ホルモンとサイトカインの経時的変化の解析、より生理的なリンパ液回収法の検討、3T3-L1を用いた脂肪細胞分化実験系の導入、脂質吸収に寄与する抱合型胆汁酸の消化管バリアに及ぼす作用の検証を実施した。ラットを用いて十二指腸へ脂質エマルジョンを投与した後、経時的にリンパ液を採取した。この中の全GLP-1濃度を測定したところ、リンパへのGLP-1流入した後にIL-6濃度が一過性に上昇することを見出した。リンパ節存在する免疫系細胞に及ぼす脂肪酸などの作用を評価するために、より生理的な条件でのリンパ液回収方法の条件検討に着手し、概ね実験系の導入ができた。3T3-L1を用いた脂肪細胞分化、また、in vivo及びex vivoの実験系で脂質吸収に関与する抱合型胆汁酸が消化管組織のバリア機能の脆弱化に関与することを見いだした。以上のことから、脂質吸収直後に一過性に増加するGLP-1は、吸収された脂質より先に腸間膜リンパ節に到達し、炎症反応の調節に寄与する可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度に腸管リンパカテーテル留置を施し、拘束下で脂質吸収後のリンパに流れる因子を解析する予定であったが、より正常な食事摂取後の状態を反映する実験条件で、食事摂取後のリンパ液を回収できる方法を導入することとした。当初計画で策定したものより生理的な条件でのリンパ液回収法の検討に時間を要したため、当初計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
より生理的なリンパ液回収の実験系が概ね導入ができたので、この実験系を用いて消化管内分泌系が慢性炎症に及ぼす作用を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に腸管リンパカテーテル留置を施し、拘束下で脂質吸収後のリンパに流れる因子を解析し、学会発表をおこなう予定であった。しかし、より正常な食事摂取後の状態を反映する実験条件として、胸管リンパへカテーテル留置を施し無拘束状態で食事摂取後のリンパ液を回収できることが分かり、この方法を導入することとしたため、未使用額が生じた。 このため、上記胸管リンパカニュレーションによる食事摂取後のリンパ液分析及び関連実験とそれに関する学会発表を次年度に行うこととし、未使用額をその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(2 results)