2013 Fiscal Year Research-status Report
脳老化を防止する高機能食品成分の効果を検証する高感度試験法の開発とその応用
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24658117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久恒 辰博 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (10238298)
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Keywords | 脳老化予防 / 食品機能成分 |
Research Abstract |
脳老化を防止する機能性食品成分を特定することが強く望まれている。本研究では、申請者が新規に開発したアルツハイマー病マウスに高脂肪食を投与する糖尿病併発型アルツハイマー病モデルマウスを用いて、食品成分(DHA・カテキン・カルノシン・フェルラ酸、等)の効果を、記憶行動試験を用いて比較検証し、最も効果のある成分の特定を行った。その結果、イミダゾールジペプチドの一種であるカルノシン(βアラニル-ヒスチジン)の効果がもっとも顕著であることが見出された。行動試験に供したマウスに関し、その後脳切片を作成し老人斑の蓄積に対する食品成分の抑制作用を検証したが、老人斑の蓄積に対する抑制作用は特に見出されなかった。また、ヒト試験への橋渡しのために動物MRIを用いた高感度脳画像解析を実施した。摘出脳を用いて脳組織の炎症を評価する方法を開発し、この方法を用いてカルノシンの効果を検証した。その結果、カルノシンには同モデルマウスの脳組織炎症を抑える作用があることが示唆された。このイミダゾールジペプチドの中高齢者の脳老化に対する予防作用については、現在、農林水産業食品産業科学技術研究推進事業からも支援を受け、当該食品成分を一定期間摂取するヒト試験を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究期間内の達成目標として、以下の3点を設定した。 1)新規に開発した脳老化促進マウスモデルを用いて脳老化を抑制する食品成分を特定する。本項目に関して、前述したごとく、脳老化を抑制するはたらきを持つ食品成分が特定できた。 2)脳老化の進行ならびにその食品成分による防止を高感度に評価する画像技術を確立する。本項目に関して、動物MRI装置を用いて、食品成分の膿漏か予防を検証するための画像解析法を開発することができた。 3)MRI画像検査を用いてヒト試験を実施し脳老化を予防できる食品成分の効果を明らかにする。現在、農林水産業食品産業科学技術研究推進事業からの支援を受け、食品成分を一定期間摂取するヒト試験を実施し、MRI画像検査を用いてその作用を検証している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、MRIを用いて、動物モデルとヒトとで全く同じ方法の検査を行い、脳老化を抑制する食品成分を特定する点に、特色がある。ヒト試験においては、現在4種類のMRI画像取得法(構造MRI, 脳炎症評価MRI, 機能MRI, 脳血流MRI)を採用し、研究を行っている。マウスモデルにおいて、構造MRIと 脳炎症評価MRIについては、すでに開発を行い、食品成分の作用検証に使用することができた。今後は、 機能MRIや脳血流MRIについても、開発を行い、食品成分の作用検証がさらに多角的に実施できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たな動物MRI解析法の開発にめどが立ったため 新たな動物MRI解析法を開発し、食品成分の効果検証に使用する。
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