2013 Fiscal Year Research-status Report
食品が活性酸素・フリーラジカルを消滅させる能力を評価する方法の開発
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24658123
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
長岡 伸一 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (30164403)
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Keywords | 食品機能 |
Research Abstract |
本研究は、様々な抗酸化物質や食品が活性酸素の一つである一重項酸素を消滅させる能力を評価する実用的で汎用的な方法(Singlet Oxygen Absorption Capacity (SOAC法)および同様にフリーラジカルを消滅される能力を評価する方法(Aroxyl Radical Absorption C apacity (ARAC法)の開発を行い、新たな食品の抗酸化活性の分析方法として確立することを目的とする。申請書ではフリーラジカル消滅能力評価法をNovel Oxygen Radical Absorption Capacity (NORAC法)と命名したが、アメリカ農務省がORAC法から撤退したので名前の縁起が悪いため、ARAC法に名称を変更した。 1.SOAC法の高度化 汎用性が高くて効率の良いSOAC法の開発を進め、新しい種々の機能が明らかにされて注目されている天然抗酸化剤トコトリエノールなどとパーム油抽出物などの各種食品に適用し、ミセル系での一重項酸素消滅能力SOAC値を評価中である。また、アロエ含有化合物での励起状態分子内プロトン移動との相関を明らかにした。 2.ARAC法の開発 ストップトフロー法を用いて抗酸化剤や食品のフリーラジカル消去活性ARAC値を評価する方法を開発して論文を発表した。半減期の使用やフリーラジカルの適切なモデルの検討も行った。また、金属イオンが共存する場合の影響についても明らかにした。さらに、ユビキノール、ビタミンC、還元型ピロロキノリンキノン (PQQH2)とビタミンEが共存する場合の抗酸化作用の相乗効果を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2012年に「農産物・食品の抗酸化活性測定法(SOAC法)の開発」によって農林水産省共催のフード・アクション・ニッポンアワード研究開発・新技術部門最優秀賞をカゴメ株式会社と共に愛媛大学理学部が機関受賞したので、当初の計画以上に進展していると言える。様々な天然抗酸化剤のSOAC法による一重項酸素消滅能力の評価を行い、トコトリエノールなどの天然抗酸化剤に留まること無く、パーム油やミセル系にまでSOAC法を適用している。また、励起状態分子内プロトン移動との相関の研究にも着手し、本年度に原著論文1報が掲載された。 ARAC法の開発では、本年度だけでも原著論文3報が掲載され、おおむね順調に進展していると言える。ARAC値を測定する方法の開発と代表的抗酸化剤のARAC値の測定を行い、用いるフリーラジカルの種類、媒質の検討を行うと共にビタミンE関連分子のARAC値を得ているだけではなく、金属イオンが共存する影響についても評価している。また、2種類の抗酸化剤が共存する場合に相乗効果が現れるかどうかについても検討した。食品への予備的な応用とARAC値を食品表示できるかどうかの検討では、エーザイ株式会社が販売している贅沢ポリフェノールの原料であるミックスポリフェノールにARAC法を適用し、食品表示できる可能性があることが分かった。 また本年度は、これらの成果を広報するために、一般向けの解説を執筆し、著書(共著)として発刊された。
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Strategy for Future Research Activity |
1.SOAC法の応用とデータベース化 現在進めているパーム油のSOAC値の評価を纏め、他の食品にも応用範囲を広げる。論文にSOAC値が蓄積されつつ有り、今後さらに対象を拡大して26年度以降にデータベース化を目指す。 2.ARAC法の高度化と応用 SOAC法と同様に、様々な天然抗酸化剤のARAC法によるフリーラジカル消去能力の評価、汎用性の高い方法の確立、各種食品へ応用する準備とデータベース化を行う。 3.SOAC法とARAC法の統合 SOAC法とARAC法を統合して総合的な食品の抗酸化活性評価方法とすることを目指す。食品が一重項酸素を消滅する能力とフリーラジカルを消滅させる能力とは直接比較できなければならないが、SOAC法とARAC法とは共にサンプルとα-トコフェロールの反応速度との比を指標としているので比較が容易で有り、統合に適している。しかし、本研究に練達した博士研究員が一般企業の常勤職員として就職してしまったので、連携研究者などとさらにいっそう協力を緊密にして研究を遂行する必要がある。
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Research Products
(12 results)