2013 Fiscal Year Research-status Report
そのまま食品分析を実現する1H‐NMR‐DOSY法の構築
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24658125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 利郎 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20238942)
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Keywords | DOSY / NMR-DOSY法 / 糖質分析 / 非破壊分析 |
Research Abstract |
NMR分析法における磁場こう配下での分子の移動拡散性の違いをもとに「1H-NMR法でのプロトン核スピン量の定量性(=qNMR法)」と、「異なる磁場では分子の拡散移動性は異なる(=DOSY法)」との磁気的性質に着目し、多成分共存下での食品成分(糖質)の “そのまま”分析法の確立を試みた(=1H-qNMR-DOSY法)。本年度は、グルコースの非破壊定量を目的としてDOSY測定条件を設定した。対象プロトンとして低磁場において共鳴ピーク(δ5.21 ppm)を与えるα-C1プロトンを選択した。また、磁場内で同一の拡散性を与えるグルクロン酸を外部基準物質として決定した。封印した外部基準物質含有キャピラリー管を5 mm-NMR管に対するインサート管とし、最適測定条件を検討した。その結果、0.05-0.3 T/m磁場こう配下においてグルコース固有の拡散係数(5.0×10-10 m2/s、30℃)が得られ、グルコース濃度0.5-2.0 g/L範囲で得られたプロトンシグナル比との間に相関係数0.9998の高い相関関係が認められた。本NMD-DOSY法をもとに実試料の測定を行ったところ、オレンジジュース(18.3 ±1.0 g/L)、リンゴジュース(26.3±0.4 g/L)及びグレープジュース(45.6 g/L)ともに市販の食品分析用Fキットで得られた値と良好に一致し、本測定法が前処理を行うことなく簡便かつそのまま食品分析できる方法であることを明らかにした。なお、各飲料に対するグルコースの添加回収試験を行ったところ、いずれの飲料にいても回収率96.9-107.0%、相対標準偏差(RSD)として1.2-5.7%が得られ、本NMR-DOSY法が高い再現性を有していることが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文成果1件あり。
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Strategy for Future Research Activity |
溶液中での化合物間の相互作用についてNMR-DOSY法で精査し、非破壊での食品品質評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
NMR試薬使用量が少なく、そのため物品日が当初予算よりも少なく推移したため。 本年度はDMSO-d4などの新たなNMR用溶媒を必要とするため、この購入予算に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)